2019年1月25日金曜日

Cantatas全集 (Bach Collegium Japan)

今回はBachのCantatas全集を購入した際のメモになります。

一連の作品と出会ったのは最初は図書館でした。まだ声楽方面にはあまり手を出していなかったのですが、昔にFaureのRequiemを聴いて、存外しっくり聴けたことを思い出し借りてみたのがきっかけです。Requiemなんてものは一般的に自分と同年代の人たちの聴く曲とは大きくかけ離れたイメージ的にはとてもとても地味なアルバムで、会話のネタにもなりません。ですが気分が大きく落ちて思うように動けなくなってしまっている時に”そこにあって良い曲”だったんですよね。実用性があったんです。

自分にとって良い曲との出会いというのは、最初は一聴した際の印象として「おお、良いね。」という身も蓋もない感想のみが出てきて他の作品に埋もれてしまいそうになるんです。そこから少し時間を置くと、対象作品を妙に聴いてみたい衝動が沸き起こって来ます。
今回もそのような感じだったのですが、一番最初に聴いたのがVol.30。朗々と鳴りっぷりの良いトランペットとCarolyn Sampsonの凛としたソプラノ。とにかくレコーディング状態が良く、音響機器が喜んで鳴ってくれる様な印象を強く与えてくれるアルバムでした。


そこでふと「Vol.30」という文字が目に入ってくるのですが、よくよく調べてみた結果、既に全55巻という大ボリュームにて2013年にリリースが完結していることを知ります。

当然図書館では55巻全てを所蔵しているはずもなく、ここからレンタルCD屋とレコードショップ及び中古CD屋巡りが始まります。

アルバムを一枚ずつ購入すると各々3000円前後要してしまいますので、まずはレンタルCD屋(蔦屋書店)に飛び込みます。ここなら1枚あたり100円ですからね。
ところが近所のショップは流行らないクラシックなんぞ言い訳程度にしか置いておらず、藁を掴むような思いで梯子の結果、ようやく代官山の蔦屋に10巻~20巻程度の在庫があることを知るに至ります。

当初はこれらを聴くことで満足していたのですが、人間というのは業が深いというか、コレクション商法に引っかかったというか、「持っていないアルバムが欲しくて仕方ない」というどうしようもない状況に陥ってしまったのでありますよ(笑)

こうなると休日の持て余した時間を燃料に、なんとか全てを手に入れることは出来ないか・・・とか画策し始めてしまうんですよね。

最初は上野公園にある東京文化会館の資料室に入り浸っていました。ここには状態の良いディスクを試聴スペースで座って鑑賞できますから散歩ついでに楽しむことが出来ました。

ここの資料室は近くの東京藝大の方も多く利用されているとか…

レーザーディスクプレーヤーにCDを入れて鑑賞するというスタイルに驚かされつつも、結局ここではディスク自体のレンタルは出来なかったので、代わりに中古CD屋を巡ることに。
ですがここでも全巻揃えることも出来そうにないこと、及び一枚あたり1000円前後であることからいまいち感が拭えません。

そんな事があったため、結局BOXセットを買ってしまう事としました。全てを手にしたい場合、1枚ずつ手に入れるよりも明らかに安価で手に入ることや、全巻SACDのマルチch再生が可能であることも背中を押した感じです。

買っちゃった /(^o^)\

購入にあたってはネットで色々と情報を集めていたのですが、どうやら全集は日本向けの10万円のセットと、輸入盤の半額以下のセットの2種類があるようで、後者は盤面の品質がかなり悪いようです。

ネット通販で購入してしまうと後々厄介であることは容易に予想出来ましたので、今回は実店舗(HMV)を使うことにしました。幸い関東近郊のショップには在庫が幸い2つあるようで、1つが近所であったことから一旦これを購入し、駄目なら交換してもらうという作戦。

この時代、CDを買うということは資産として意味を成さないのであれば無意味、というくらいネット上にコンテンツがばらまかれてしまっている状況ですからね。当然これくらいの事はします。

結果としては1つ目を購入すると残念ながら(予想通り?)大分多くの盤面に傷が付いておりました。ブックレットも端が折れていたりと品質管理に問題があることが明白に。

こんな感じの傷が数十巻の盤面に…

その後ショップに連絡をした結果、もう一つのBOXを取り寄せて各巻の盤質を比較し、状態が良い方のディスクを頂けることに。
最終的には100点の状態ではないですが、98点くらいの内容になったためショップの店員さんにお礼を伝え、手を打つこととしました。

・・・

早速いくつかユニプレにディスクを入れて聴きつつライナーノートを眺めていたら、ビットレートの一覧表が。


ほほう。ビット深度は時代とともに上昇しているようですが、サンプリング周波数は殆どが44.1kHz。マルチも28巻以降から正式に収録されているようで、それ以前は2ch音源。SACD層やマルチ層もリニアPCMからのコンバートかな・・・。

アンプを変えたためユニプレからデジタル接続が出来ないことを思い出し、急遽確保することとなったケーブル。自作しようかと思いましたが、目の届かない背面でトラブルっても困りますので完成品を買いました。アナログ接続という点については(仕方ないのかもしれませんが、)実に不便ですね…。

とは言え各巻共に十分な音質を確保出来ており、満足度はかなりのもの。やはり音の良さはスペックよりもレコーディング技術に依るところが大きいのだな、と思っちゃいます。


鈴木雅明さんのバッハはcantatas以外にもBCJブランドの作品をいくつか聴いていますが、本当に素晴らしい作品が多くて最高です。クラシックなどをこれまで聴かなかった方にも自身を持ってオススメできる作品群だと思いますので、機会がありましたら是非試してみてください。

2019年1月1日火曜日

2019 明けましておめでとうございます。

昨年は大切な仕事に邁進しつつも、40歳の大台に達し、ただただ目の前の猥雑な物事に振り回され盲目的に恭順するという愚を改め、少しでも俯瞰的な物の見方を身に着けて行こう、それが生き方として自分を大切にする事に繋がっている筈である、と考えました。則ち"(0や1ではなく、)バランスのとり方"を改めようと、強く想うに至った一年であったと言って良いかと思います。今年もテーマ的には大きく変わるところはありません。

新しい時代が始まるにあたり、有限なお金と時間をどのように投資し、一秒一秒を自分にとって本当に腑に落ちた有意な記憶に替えて行き続ける為にはどう立ち振る舞うべきなのか。常に自分に問いかけつつ歩いて行きたい。そんな事を想う年初。

至らぬ所の多い私ではございますが、ご指導頂けますよう、皆様、どうぞ宜しくお願い申し上げます。