2016年5月22日日曜日

奥秩父・乾徳山(難易度:★★★☆☆)

五月晴れが続いていたため、先週に引き続き山梨県の甲府にほど近い塩山駅を起点として乾徳山に登ってきました。

山頂に至るまでに、「森」「草原」「岩・鎖」という3つの表情を見せてくれる人気の高いコースであるとの話を聞き、是非とも登ってみたかった山の一つです。

行程は登山口~山頂間のピストン

今回は日帰りで登山計画を練っていたのですが、どうにも東京から公共交通機関を使用した場合、日帰りでは時間が足りないということが分かりました。
というのも、塩山駅と乾徳山登山口の間を結ぶバス便がボトルネックとなってしまうのです。


具体的には塩山駅発の始発バスに乗り、乾徳山登山口に9:02に到着し、終バスの16:08に乗る場合、登山開始から下山完了までの猶予タイムは7時間06分となります。
ところが上の地図に示されている通り、お昼休憩を30分入れると7時間50分を要することとなり、計画上、バスで駅との間を往復するのは無理、ということが分かります。

正直なところ、急ぎ足の登山は雲取山の日帰り登山で懲りていたことと、時間に追われて十分に楽しめないようでは本末転倒感が強くなるのでなるべく避けたいと考えました。

そこで、帰りはタクシーの利用を覚悟のうえでプランを練ることとしました。
終バスに間に合えばラッキーという感じですね。

7:45 新宿から電車を乗り継ぎ塩山駅に到着

西沢渓谷行きの始発バスは1台増発され、合計2台でした。バスの運転手が予め並んでいる客数をカウントしてバスの増便要否をその場で判断してくれていました。

9:02 乾徳山登山口バス停に到着

ここから実際の登山口まで30分弱歩きます。
大した距離ではないとは言え、もう少し登山口の近くにバス停を設置してくれればなぁ、と思っちゃいます。10分程度歩くと道が荒れていたため無理だと理解はしてるんですけどね。

川沿いに歩き、登山口を目指します

標識通りの道なりに進んでゆくのですが、雨の強い日などは土砂崩れや落石の危険性があるかも・・・という感じの道でした。

9:30 乾徳山登山口に到着

道は基本的にガレています

序盤だけは若干急な登りですが、その後はオーソドックスな登りが続きます。
黙々と1時間ほど登ってゆくと・・・

10:00 銀晶水~駒留

湧水はこの先に進んだ錦晶水というチェックポイントに有り。

そういえば2本ほど車が通れそうな幅を有する廃道とクロスしましたが、地図にないこの道はどこに通じていたのだろう・・・。

道中、ケルンをよく見かけます。崩れると危なそうですが、一体何の意味があるんだろう・・・。
そんなことを考えつつさらに登ってゆくと、国師ヶ原手前の雑木林に入っていきます。

ここは斜度は全くありません。但し個人的には道がかなり不鮮明に感じましたので、道迷いを避けるために慎重に進むことをお勧めします。

そして林を抜けると乾徳山の頂上をとらえるポイントに出ます。

その山容たるや、どう見ても甘食です。ミルクと一緒にどうぞw

10:50 国師ヶ原

ここから頂上に至るまでの道が二つに分かれています。
左は高原ヒュッテを経由し、右は扇平(草原)を経由するルート。
見た感じですと随分近くに感じるんですけど頂上までは1~2時間程度らしいです。

そしてここから頂上までは乾徳山の醍醐味が濃縮された行程に突入します!

11:11 扇平

更に登ってゆくと周りの木々が少ない場所に出ました。これまでの道が基本的に木々の間を通過してきたこともあり、先週の大菩薩嶺ほどではないにしろ、風が気持ちよく空がとても高く感じます。
ここで休憩している団体さんが結構いましたが、自分は先を目指します。

(別に急ぐ必要はないのですが、どうにもバスの時刻が気になり窮屈でイケません・・・)


徐々に道が岩場へと変容し、乾徳山頂上までのラストスパートとなります。

1回目の鎖場

ここは軽めの1本が終わった後、続けざまに2本の鎖が下がっています。
その内、向かって左の1本は斜度が80度~90度で落ちても地面がありますが、足場が少なくちょっとだけ難易度が高め。右の1本は斜度が70度~80度で落ちると地面がありませんが、足をかけるポイントが豊富で難易度は低めです。
・・・といっても2,3メートル程度なんですけどね。

自分を含め、皆右の鎖を選択していました。

登りきると高度感はそこそこありました

道中見かけた他のハイカーが全力で仕込んだネタであろう、この支枝の頼りなさたるや(笑)

乾徳山の終盤は「岩の殿堂」などと言われてるだけのことはあり、腕の力でよじ登っていくシーンが多いですね。スリリングな登りが続いた後は頂上直下の・・・

紹介写真でよく見る長い鎖場!

前の鎖場と比較しても一目見て落ちても死なないことが分かるため、安心感が沸いてきます。
但し少し滑りやすいです。このため岩の割れ目に足を引っかけつつも、基本的には腕の力で登って行く必要があります。

そして・・・

12:24 乾徳山山頂

なかなかの達成感です!

但しここにはあまりスペースはなく、後ろから他の登山者が多く登ってきていたため、あまりゆっくり出来ませんでした。

山頂から少し先にもピークっぽいところが有ったのでそこも踏んできました。

因みに山頂直下の長い鎖は無理に登らずとも巻き道が用意されています。

リボンを目印に進みます

梯子がかかっており登り客がいないようでしたので、自分は下山時に使用しました。

山頂から少し下ったところで昼食をとった後、下山開始

下山時は鎖場で登り客を待つための渋滞が少なからず発生します。
ですがゆっくり確実に・・・。

下山途中、国師ヶ原付近で野生の鹿に遭遇

丹沢でも1度もお目にかかれなかったので、ちょっと嬉しい気分になりシャッターを切りました。
但し、フラッと鹿の方に近づいた際、ルートを外しそうになりました。

往路でも感じましたが、国師ヶ原と錦晶水間の雑木林は迷い易いので、もう少し目印を増やしたほうが良いと感じます。

 
15:24 下山完了

結局のところ乾徳山登山口の終バスには余裕で間に合いました。

ですが、少々急ぎ足での登り下りになった点は否めません。終バスがもう1時間程後ろ(17時台)の便があればゆったりとした山行が可能なんだけどなー、と思うのは自分だけだろうか。

・・・

ということで乾徳山でした。
難易度的には東京からの日帰りが時間的に厳しい点を考慮すると星4つに近い3、という感じでしょうか。

コース的にも終盤のみとはいえトレッキングポールを突けず這って進むシーンが少なからずある岩が特徴的な山です。実は無装備で登ってゆく人もそこそこいるのですが、装備はしっかり整えてから臨むべき類の山でした。

(自分は頭、膝、肘にガードを入れ、グリップのある手袋という重装備でしたが、やはり安心感が段違いです)

2016年5月14日土曜日

奥秩父・大菩薩嶺(難易度:★☆☆☆☆)

ゴールデンウィークの後半に奥秩父(山梨県)の大菩薩嶺に登ってきました。
数十分の緩やかな登りの後には、ものすごい絶景が待ち受けていました!

・・・

まずは新宿から電車を乗り継ぎ、高尾から中央本線に乗って大月駅のさらに先にある甲斐大和駅に到着。
ここから登山口までバスが1日数本出ているようなので、これを利用して上日川峠に移動します。

9:10 甲斐大和駅からバスに乗って出発

ゴールデンウィークで客数が多いからでしょう、同じ時間帯に臨時便が増発されていました。
それにしてもどこぞの学校の遠足に紛れ込んだモグリな気分であります。運賃は片道1000円でしたよ。

10:00 上日川峠に到着

バスを降りたところにロッヂ長兵衛という小奇麗なお土産屋さんがあります。
ここで身支度。

帰りのバスもチェック

10:10 登山開始

かつてないくらい穏やかな登山口です。天気が有り得ないくらい良いです。

福ちゃん荘までの道を15分程

多くの家族連れの方達とすれ違いました。客層がいつもと違うなぁという印象。

第一目的地の福ちゃん荘までは右横の普通のアスファルト道と並行する形で登山道が存在しますが、自分はせっかくなので登山道を進みました。
ですが、アスファルト道を進む人から見られてる感が強く、少し恥ずかしい気分になりました・・・(笑)

10:27 福ちゃん荘に到着

ここもお土産屋さんで、小奇麗な施設でした。
帰宅してから調べてみると、実は過去に凄い経歴(※)を持つ場所だったらしい。
今はハイキング客を迎え入れる静かなお土産屋さんなんですけどね。

(※)共産主義赤軍と機動隊が衝突した大菩薩峠事件の現場。1960年代という時代の記憶が刻まれているのですね。僕もこの時代のアツい風に吹かれたかったよ・・・。つくづく生まれる時代を間違ったと思う。

ここから大菩薩峠と大菩薩嶺をぐるりと一巡りして戻ってこれるコースが始まります

  
とにかく道が穏やかで歩いていて風が気持ち良いのですよ

道の脇から上を眺めると苔が光と影のコントラストで綺麗(ここは登りません)

11:00 大菩薩峠に到着(お土産屋さん3件目)

黙々と歩いたからでしょうか、30分ほどで到着してしまいました。
森林限界ってわけではないのでしょうが、ものすごい気持ち良い稜線にここから突入します。

きっと訪れる人のお約束の1枚なんだと思う

歩き始めてから1時間を要さずにここまで雄大な景色にお目にかかれるとは予想していませんでした。富士山と、今後目指すこととなるであろう南アルプスの絶景です。

iPhoneのパノラマ写真は真ん中が意図せず縮んでしまうのでいまいちかな?

南アルプス方面を望む

天井を横に長く突き続ける姿に思わず気合が入ります。甲斐駒ケ岳や北岳が見えますね。

富士山方面を望む

これまで気象条件的にかみ合わず、見ることが叶わなかった富士山がようやく目の前に現れてくれました。南アルプスも凄い山容ですが、富士山はなんと言うか、やはり別格なんですよね。

その後も写真を収めつつ稜線を進みます。

山というより丘という表現が近しいかもしれません

大菩薩峠から大菩薩嶺に至るまでのちょっとした岩場

ここもお婆ちゃんお爺ちゃん小学生が元気に登ってゆきます。
懐の深い山なんだなぁ、と思わせてくれます。

11:41 賽の河原

岩場を超えると開けた場所に出ます。少し早かったですがここで昼食と休憩。
うーん、写真だと妙に殺伐とした感じに見えるのは何故だろう?

 
12:46 山頂の大菩薩嶺

山頂に到着したのは良いのですが、ほぼ眺望もなく、そのまま福ちゃん荘及びバス停に引き返すのは遥々山梨まで来たというのにもったいないなぁ、と感じましたので、丸川峠の方から下山し、中央本線の塩山駅を目指してみることとしました。

こちらはいつも見慣れた雰囲気の登山道

2,3組とすれ違いましたが、休憩ポイントや眺望が殆どなく、地味な道がひたすら続きます。
足を止めると風とウグイスの鳴き声のみ。とても静かです。

13:53 丸川峠

樹林帯を抜けた先に丸山峠の小屋があります。
ここがこの道の唯一の休憩場所だと思いますが、何組かのおばちゃんハイカーが休んでました。

 
丸川峠から謎に窪んだ道に沿って裂石方面へ向かう

再度樹林帯に入り・・・

川の音及びこの表示板が出てくると登山道の終わりが近い

15:14 登山口の一つである丸川峠分岐駐車場

下山に2時間ちょっとだったので、ここから登ると山頂までは3時間程度だろうか?
大菩薩峠稜線からの絶景を勘定に入れると、休憩ポイントや道中の眺望の悪さを我慢し、地味ではあるものの登ってみる価値は大いに有り、と見ました。

さて、ここから麓の町にある中央本線の塩山駅までは少々距離(10キロちょっと)があるわけですが、かといってバスの本数の少なさから余裕で1時間以上待たねばならないことが分かりました。

「ということであれば歩こう。」

もうね、団体行動をしていれば自分のような考え方をしてしまう人は敬遠されちゃうんだろうなぁ、と思うんですよね・・・などの思いが胸を過りつつサクサク歩いていきます。

花を撮りつつ歩くのです

 
そろそろ紫陽花の季節ですねぇ

尾根の影からちょっとだけ姿を見せる富士山萌え~

麓に見えていた町まで降りてきました。
結局山道の下山より、その後のアスファルト道のほうが時間がかかって体力を使った感じでした。
途中でバスに追い越されましたが、残り2,3キロ程度だったので最後まで歩いちゃいました。

17:30 JR塩山駅に到着

この塩山という町は武田信玄ゆかりの地、ということらしいです。
少し歩き疲れましたが、信玄公の銅像が背中で迎えてくれました。

そしてお約束ではありますが、帰宅後のビールは最高でありました。心地よく酔いながら昨シーズンの武甲山をぼんやりと思い出していました。

今シーズンはどの山に登ろうか・・・。

・・・

ということで、今回は「登山をした」、というより「下山をした」という印象が強いという、不思議な山行と相成りました。

逆に塩山駅からバスを使い、丸川峠分岐駐車場から頑張って登って、景色の良い稜線を堪能した後にそのままバスで甲斐大和駅に帰るというプランも大いにアリだと思います。下山って結構体力使いますからね。その場合は表題の難易度の星を一つプラスしたいと思います。

もちろん大菩薩嶺からそのまま福ちゃん荘に降りていれば、お昼休憩をはさんでも3時間程度だったと思いますので、誰でも気軽に楽しめる眺望の物凄く良いハイキングスポットとしても活用出来ると思います。

個人的には高尾山に登った次の山としてお勧め出来るかと思います。はい。