2018年8月27日月曜日

丹沢・鍋割山〜塔ノ岳(難易度:★★☆☆☆)

来月中旬から後半に向けて計画している件に向けて、今こそ初心に帰るべきである・・・。そんなことを考えていたのですが、立ち返る"初心"というのが悲しいかな、費用面でのお話だったりするんですよね。
今年の登山は海外や遠出が中心、且つ装備の刷新が重なったために妙に出費が嵩んでおりました。
そもそも自分が登山を始めた当初に感じていた旨味は「費用がかからず、その日1日を充実感と満足感で満たされた状態(精神的に参らない)で休日を処理することができる」という優れたコストパフォーマンスにあったはずでした。ですが気がつけば1回の山行で2万から3万が当たり前に必要となっているわけですよ。(それが一ヶ月に2,3回,,,)
ある意味自身のお金と時間を自分なりに納得いく形に記憶に変えてゆく一つの道が見つかったのですから、非常に喜ばしいことではあるんですけどね。

今回は大倉から鍋割山を経由して塔ノ岳を目指します。

自分にとってのホームグラウンドというとやはり丹沢です。何故って新宿から電車バスで登山口まで片道1000円を要しない非常にコストパフォーマンスの良いエリアであるからです。
(人が多すぎるのはネックですが・・・)
一時的にではありますが熱暑が収まって低山歩きも可能かな、と言うことで、折角なので以前から歩いてみたかった大倉尾根の西側のルートを歩いて山頂で名物の鍋焼きうどんを食そうではないか・・・。そう思い立ったのでした。

8:10 渋沢駅

これまでは塔ノ岳に遊びに行く際は秦野駅が出発地点で渋沢駅が終着地点でしたが、今回は出発、終着地点共に渋沢駅が起点となります。

8:35 大倉バス停

大倉バス停から丹沢山を目指す場合は、(いつもの大倉尾根の道とは異なり)バス停の向かいにあるラーメン屋の横の道を進みます。いきなり道が分岐していますので道に既視感はなく新鮮な気持ちで歩けます。


林道に入るまでは看板に従って歩いて行くだけなのですが、道がグラベルになってまず一発目に不安になるのがこの道を塞ぐように設置されているこのネットでしょう。予備知識がないと「地図通りに歩いてるのに何故?」となってしまいますが、実はただの鹿除け(効果があるのかは謎)のために設置されているだけであるため、人は通行可能。手動で開閉が可能です。


ここを越えると車の通れる西山林道を5、6キロほど歩きます。道中は高低差がほとんどないので余裕があるのですが、(あの大倉尾根の対になっている道であるので)後でシゴキのように登らされるのではないか・・・とビクビク進みます。


途中で見かけた尾関広之の像の側で、近所のベーカリーで買ったパンの残りを食しつつ一服。山行の日は朝食がとても早いので、(自分流としては)こういうタイミングで1食追加になる感じなのです。炭水化物を少量ずつ頻度を多く取るのはとーっても重要なのですよ?

9:55 二俣

途中、こんな感じの渡橋を通ります。ここを歩くと良い感じに撓むので渡り終えた後の硬い地面でも妙に撓んだ感覚が残ってしまいます。ボヨンボヨン・・・。

10:16 実質的な鍋割山登山口

ここでは鍋割山の山小屋まで「ボランティア」で水の入ったペットボトルを運ぶことが可能です。「体力に余裕があれば是非とも!」ということですが、自分は余計な荷物と蛮勇が嫌いなので余裕があるかないかは終わってみないと主観的にも客観的にも判断出来ないだろう、と考えてそのまま道に入って行きます。
(最近ではお隣の丹沢エリア・大山でも同じことをやってるっぽいですので、歩荷さんに魅力を感じられている方がいらしたら是非とも両山併せてチャレンジされては如何でしょうか?)

10:41 後沢乗越

とても綺麗に整備され、登りやすい道を上げて行きます。個人的には人の多い大倉尾根を歩くより、人の数が少なめで静かな歩きが可能なこちらの道の方に魅力を感じます。


お馴染みの木道を歩いてると丹沢を歩いている感が沸々と湧き上がってきますね。
そして登って行くと道の先に何やら人工物が・・・と思ったら。

11:40 鍋割山山頂

今日はなんと富士山が拝めました。

山頂はとても広くて休憩スペース、昼寝スペースが実に豊富です。
さて、ここに来たからには・・・

秦野、渋沢、小田原の市街地を眺めつつ鍋焼きうどんを食すのであります。

天ぷらのかぼちゃ、及びつつくと蕩ける卵がイカしてます。いつもはお手伝いさんがいるらしいですが、一人で切り盛りしている小屋のおっちゃんがテンパりながら頑張っているのを感謝しつつ美味しく頂くことが出来たのでした。

12:30 昼寝の後は計画通りに塔ノ岳まで足を延ばしてみることに。


途中、蛭ヶ岳〜丹沢山の稜線がくっきり見えるポイントに出ます。何年か前に檜洞丸から歩いて11時間以上を要したあのアツい1日を思い出しました。あそこの稜線道は本当に美しかった。いつかまた歩きたいものです。
加えて今回の帰り道である大倉尾根が綺麗に見えます。今になってこうして遠目で見ると非常に穏やかで綺麗な稜線でありますよ。


小丸、大丸、金冷やし(大倉尾根との合流地点)というチェックポイントを通り過ぎます。



13:30 塔ノ岳山頂(今日は熱暑が収まっているのでなんと27度!歩きやすい!)

ここに来るのはもう何度目だろう。いつ来ても目にすることができなかったご神体を今回ようやく拝むことができたのでした。ここからの富士山はこんな感じだったのね。綺麗なものです。

富士山には高地を目指す際にトレーニングとしてもう一度訪れたいものです。


今回の山行では自分的に丹沢山行のスキマとなっていた部分にピースを埋めることが出来た感じです。

意外と人が多くなかった大倉尾根

後は黙々と大倉尾根を下ります。
初めて歩いた際には非常に時間を要してキツいなぁと思ったものですが、今回は天候の条件、体調の条件も良かったことが手伝って、2時間弱で下れたのでした。

15:45 下山完了

自分は大倉尾根の下山口からバス停に向かって少し歩いたところにあるこのポイントが好きなんですよね。畑や民家の立ち並ぶただの道なのですが、どこからともなく漂ってくるたき火の匂いに癒されるのです。

16:10 渋沢駅

登山後の一杯は酔いの回りが綺麗でいやはや堪らぬ。

・・・
というわけで1年ぶりの丹沢でした。やはりこのコストパフォーマンスの良さと歩きやすさは素晴らしいものがあります。
丹沢だけではなく、山梨方面にも青春18切符を上手く使えれば費用を抑えて行動範囲を広げられるのですが、期間内に5回分使い切る自信がなく、かつチケット屋でバラ買いすると逆に高くついたりでどうにも上手くいかないんですよね。
充実した山行の経験を積み上げるためにももう少し色々と工夫して行きたいな、と思うのでした。

2018年8月10日金曜日

尾瀬・燧ヶ岳~至仏山(難易度:★★☆☆☆)

今回はバス泊+1泊2日で尾瀬にそびえ立つ2座の百名山を登りに行ってきました。
自分は尾瀬には行ったことがなかったのですが、人づてには「尾瀬って言っても尾瀬沼と尾瀬ヶ原に別れているから、一度に巡ろうとすると広すぎるしかなり歩かされるよ!」と聞き及んでいたので、結構厳しい道中になるのかな、と考えておりました。ですが、山歩きである程度は脚を作れていたこともあるのでしょう、尾瀬沼~燧ヶ岳~尾瀬ヶ原~至仏山を十分に楽しみながら歩き通すことが出来たのでした。

尾瀬ヶ原の中央に位置する竜宮小屋で一泊しつつの1日1座の行程

新宿のバスターミナルから夜の10時過ぎに出発し、スタート地点となる大清水バス停には朝の3:30に到着。暑くもなく、寒くもなく。手短に朝食を取りつつ準備。

3:40 確かに大清水バス停に到着しているらしい

これまでに乗った夜行バスもその多くは夜明け前に現地に到着するので、ヘッデンを付けてのスタートというのは特に珍しいことではありません。ですが最初は夜目が効かず、右も左も分かり辛い手探りでのスタートとなりました。


大清水登山口をスタートしてから少しずつ夜が明け、1時間ほど車道を歩くとヘッデンをはずせる状態になりました。

4:45 チェックポイントである一ノ瀬

今回は時間帯がアレだったので利用できませんでしたが、実は大清水からはシャトルバスが出ているらしい。一の瀬を過ぎるとちょっとした林道が続いていることもあり、歩き慣れていない人など、なるべく体力を温存したい方には有り難いのかも。

5:45 三平峠

この峠を越えるとようやく尾瀬沼にご対面となります。

6:00 三平下(尾瀬沼山荘)

山荘から朝食の良い香りが漂ってきたので朝食べかけていたパンの残りを食べつつ小休止。2時間ほど歩きましたが、外界とは異なり纏わりつくような湿度がないのでとても快適。先日訪れた上高地も良かったですが、こちらもなかなかのものです。

これから向かう燧ヶ岳の山頂にガス

予報では本日と翌日は降水確率が0%であったためまぁ大丈夫だろうと思いながら尾瀬沼周辺を歩く。


この季節は花のピークが過ぎた閑散期であるため、今回はこのくらいが限界。んー。


ですがこれはこれで絵になる感じで良いんですよね。人が少ないのも◎。いつもは登山道の鬱蒼とした樹林帯を歩くことが多いので、こういうご褒美もあって然るべきでありますよ。
そんな感じでボチボチ歩いてゆくと、山頂方面のガスが取れておりました。

7:00 長英新道入り口

ここから燧ヶ岳への登りが始まりますが、尾瀬沼近辺の風景は早くも見納めとなります。


道なりに山頂を目指すのですが、事前に収集していた情報よりも道の状態は良く、実に快適に歩けます。

40分ほど歩くと「1合目」の看板が。GPSで現在地を確認すると、入り口から山頂まで半分以上歩いているので「?」な感じだったのですが、それまで大して登らされなかったこともあり、以降はある程度の頑張りを要する道が続きます。

序盤は特に問題なし。

3合目後半からある程度の眺望が形成されてきます。


この辺りからと記憶しているのですが、残念な事にアブさん達による盛大なウェルカムパーティーが始まっちゃいました。
これ、地味に辛いんだよねw。何年か前に武甲山に登ったときにもやられたんだけど、アブさんの羽音による秀逸な挑発具合に一層の消耗が強いられるんです。
持参していたハッカ油スプレーもあまり効果ナシ。ちゃんとしたアブ避け対策しておくべきだった・・・。

9:15 樹林帯を抜けるとミノブチ岳

燧ヶ岳は5つピークがあり今回はその内の3つを踏む予定なのですが、こちらはその1つ目。朝方歩いてきた尾瀬沼と、2つ目のピークである俎嵓(まないたぐら)を捉えます。奥には日光方面の山々が。

この表示板、妙にコンプリート魂を擽ってきます。

9合目を越えるとアブさんのウェルカムパーティーもお開きと相成ります。いやー、今回のは特に熱烈なロックンロールでした。

9:50 俎嵓に到着

ここからは3つ目のピークである柴安嵓(しばやすぐら)に加え、尾瀬沼、尾瀬ヶ原が一望出来る360ビュー。尾瀬の全景を堪能することが出来ました。色々と消耗した分だけ有り難みがあります。


その後はお隣の柴安嵓に移動。

10:30 燧ヶ岳山頂(柴安嵓)

思わず「墓石か(笑)と突っ込んだ人は(自分の他にも)数知れず、と言ったところでしょう。燧ヶ岳の山頂には誠に菊の花が似合いそうな黒光った石がそそり立っていたのでした。なんとなく手を合わせて拝んでみましたが、特にご利益は無さそうです。

その後は昼食と昼寝を挟んで尾瀬ヶ原方面に見晴新道にて下山・・・、したのですがお世辞にも状態の良い道とは言えず、これまで歩いた道の中でも屈指の歩き難さでした。

9合目~6合目の嫌らしさは相当のもの

上の写真はまだマシな方で、一つ一つの処理に実に手間がかかる非常に荒れた道が続いており、正直湿原のハイキングついでに遊べるルートではない感じでした。それもその筈。この見晴新道、実は数年前に豪雨影響で一時期閉鎖されていたこともあるらしいです。
もっとこう、ゆるふわ感が欲しいよね(笑)

13:30 下山完了

ですがその分、尾瀬沼から続いている木道との合流地点が見えたときは嬉しかったですね。

13:40 尾瀬ヶ原の入り口となる見晴十字路

ここで暫しの大休止。その後宿泊先となる竜宮小屋に向かいます。

原色の世界

進行方向には明日の宿題(至仏山)、振り返ると素知らぬ顔で燧ヶ岳が鎮座。
ど真ん中を突き抜ける2本の木道を歩いていたら、アリゾナ砂漠をレンタカーで走ったときの懐かしい感覚が思い起こされました。アレも良いものだった・・・。

今回のルートはバリエーション豊かな景色が目に楽しい

14:30 竜宮小屋に到着からの一杯

酔いの回りが非常に早く頗る良い感じになってしまった。


平日ということもあり、大分広い部屋が貸切状態。布団一つを2人に充てることも珍しくない一般的な山小屋とは一線を画すぜ…。

そして翌朝・・・。

昨日以上に素晴らしい天気

いやぁ、本日のターゲットである至仏山山頂に至るまでの、この真っ直ぐな道が堪らない・・・のですが、少し寄り道をして行くこととします。

7:15 ヨッピ吊り橋

スルーしても良いスポットだったんですが、名前が気になってしようがないので心残りが無いように足を延ばしてきました。進行方向は橋を渡った先にはないので、まぁ・・・、引き返すんですけどね(笑)

この辺は花の季節には凄いんだろうねぇ

8:30 至仏山登山道

歩きやすいです。まさに想定していた湿原のハイキングとセットで歩ける山、といったところです。

登り始めは昨日のこともありどうなることかと思いましたが本日はウェルカムパーティーはございませんでした。


麓からの道が一直線ということもあり、直ぐに標高を稼ぐことが出来ます。

少々蛇紋岩っぽいところがありますが、難しいところは皆無。


燧ヶ岳とは異なり、明らかに道の保全に力が入っていることが分かります。このルートは登りのみの一方通行なのでスレ違いもなく歩きやすさが際立っていました。

11:10 至仏山山頂

今度は白い墓石ですか。南無南無。


非常に秀逸な風景を楽しむことが出来たので満足感がありましたが、尾瀬沼が見えないので眼下に尾瀬の全てを収めることは出来ません。やはり尾瀬の盟主は燧ヶ岳ということかね。

・・・そう言えば竜宮小屋で仕込んでもらったお弁当は何の変哲も無いオニギリ弁当だったのですが、付け合せのオカズがチーカマ、エイヒレ、新生姜という・・・、どう考えても晩酌のオツマミだったんですが、コレにはなんとも度し難い気分に(笑)

その後は写真左奥のゴール地点である鳩待峠を目指して歩いてゆきます。これもまた近いようで遠い。


やはり稜線歩きは気持ち良いものがあります。一日目にここを歩いて二日目に燧ヶ岳に登っていたらモチベーションが持たなかったかも。やはり鞭のあとに飴。逆は駄目です。うむ。


チェックポイントの小至仏山を経由しますが、登山道の何割かは木道が敷かれています。整備にかける東京電力の気合い(お金?)をヒシヒシと感じる。

13:20 鳩待峠

バスが13:40だったのですが、行程はオンスケであったとは言えペースがゆっくり過ぎたかもしれません。今後はもう少し余裕を持った計画を立てねばなるまい。

今回も無事下山することが出来たのでした。

・・・
というわけで尾瀬登山の記録でした。
季節的なものもあり”花の咲き乱れる尾瀬”というわけにはいきませんでしたが、青空と白い雲、緑というインパクトのある夏らしいカラーリングに包まれながらの登山&ハイキングは非常に素晴らしいものがありました。様々な季節でいろんな表情を見せてくれそうなこの尾瀬はガッツリ登りたい人にも、景色を楽しみつつ散策したい人にも対応可能なグッドなスポットと言えそうです。