2017年5月22日月曜日

是非聴いてほしいヴァイオリン曲集(J.S. Bach: Sonatas & Partitas for Violin)について

少し高めの音響機器を手に入れた場合、その購入等に要したコストの正当性を裏付けるため、人の心理として「良い音を手に入れた!」と感じたいものです。
そのような場合、(特にそれがヘッドフォンであった場合は特に)是非聴いて欲しいCDがあります。

Gil Shahamというイスラエルのヴァイオリニストによるバッハの無伴奏ヴァイオリン曲集です。


バッハの無伴奏ヴァイオリンは様々な奏者によるアルバムがかなりの数出回っています。
その中でもこれまで千住さん五嶋さん等をはじめとしていくつかの演奏を聴いて楽しんできたのですが、Gil Shahamは(聴けばわかるかと思いますがレコーディング技術の高さも含めて)完全に凌駕していると感じます。というかヴァイオリンの音にここまで聴き手惹きつける力があるのかとビックリします。

何と表現したらよいのでしょうか、その他大勢の奏者は曲を完全には弾きこなせておらず、そこを独自解釈や、演奏とは関係のない虚飾で埋めている感じでした。が、(素人の耳にも解るレベルで)必要とされる技術を奏者が安々とクリアされており、その上に自身の実力に依る解釈が良い方向にシナジーを生んでいることが判ります。

音に対して身を委ねることにここまで脳が快楽を覚えるのは稀な経験でしたので、非常にオススメです。
(おそらくレンタルショップには無いので、その場合は購入されてくださいな)

視聴はこの辺で。

その他、前に聴いたグールドのピアノも楽しかったし、バッハは本当に最高ですね。

2017年5月14日日曜日

DDC(RUDD14)の導入について

サブシステム側のオーディオ環境構成を少し変更したのでメモ。

これまではパソコンからUSB2本をそれぞれのDACに接続し、ヘッドフォン、スピーカーを駆動していました。


旧システム構成

しかし、この構成の場合、以下3つの問題が有ります。
  1. DAC1000に88.2kHz、176.4kHzの信号を送れない(※)
  2. USB電源線に乗るPCノイズ対策(アイソレーション)が施されていない
  3. ヘッドフォン、スピーカーの駆動先切り替え操作が面倒(プレーヤー側の設定変更が必要)

特に1についてはWindows7時代はhiFace twoというDDCを使用して対応出来ていましたが、Windows10になってからはドライバが上手く対応出来ていないようで、COAXIAL接続での再生(88.2kHz、176.4kHz)が行えていませんでした。
(少し前のWindows10に対するCreatorsUpdateでUSB AudioClass2.0規格に少しだけ対応してくれましたが、これによるhiFace twoのドライバレス駆動が期待されたものの結果はNGだった)

自分の場合、CDからリッピングした音源(44.1kHz)をプレーヤー側(JRMC)で2倍、または4倍の周波数にアップサンプリングしたものを聴き比べて遊ぶこともあり、対応してもらえないといまいち楽しめなかったりします。(そもそもアップサンプリングによる音質的なメリットは本当はあまり無いんですけどね・・・)

「COAXIAL接続でDACに接続できれば良い」ということであるため、試みの一つとして下のようなアタッチメントをPC側に仕込み、マザーボード上のS/PDIFピンから信号を引っ張って来たりもしました。が、思うような結果を得ることが出来ませんでした。


そんなことを考えながらネットで情報を漁っているとRUDD14というDDCの情報に行き着きました。こいつはRASTEME社という(大変惜しいことに)今は存在しない日本のガレージメーカーの製品。自分もUDAC32Rを所有しており、動作の安定性と音質面においては満足感の高い製品であったことからとても良い印象をもっています。

RUDD14の良いところは、自分が問題と考えていた上述の1~3を全てクリアすることが出来る、というグッドな仕様であったところです。特に3に関連し、AES/EBUとCOAXIALへの同時デジタル出力が可能という点が素晴らしい。設定の切り替え自体が不要。

そして今回、運良く手に入れることが出来たため、以下のような構成と相成りました。

新システム構成

AES/EBUのバランスケーブルにはYAMAHAのYBC03を選択しました。
バランスケーブルは位相反転による信号ノイズのキャンセリングが可能な優れものです。マイクとかでも使用されているケーブルですね。


それにしても(大昔は色々とお世話になったが)YAMAHAの製品なんて購入したのは本当に久しぶり。オーディオ界では中堅以降の製品シェアが著しく低いメーカーですしね。
(15年くらい前にエントリー型のAVアンプを買ったのが最後だったと思う)

・・・

ただ音が聴ければ良い、ということであればPCにヘッドフォンを挿すだけなんですが、難儀な趣味を持ってしまったものだ…とつくづく思うのでありました。

<追記>
RUDD14もUDAC32RもWindows10の標準ドライバ(USB Audio Class2.0)でなんとか動作はします。ただし(5分に一度程度の頻度ですが)ノイズが一瞬乗ったりすることも有り、都度不快感が際立ってしまいますので添付のドライバをWindows7互換モードでのインストールを強くお勧めします。こちらは(当たり前ですが)ノイズが乗ったりすることは無く精神的に安定します。

2017年5月7日日曜日

奥日光・男体山(難易度:★★★☆☆)

これまでのトレッキング登山においては、使用している交通手段が何故か西武線小田急線中央線京王線に限定されていました。
東武線を使って出かけたことがないことに思い至ったため、今回は新たに東京から北に位置する日光(男体山)を目指してみることにしました。色々と情報を漁っているとどうやら5月5日は男体山の開山祭を催されているようですし面白そうです。


そもそも日光に対するイメージって小学生の頃のバス遠足や、家族で週末に車で遊びに行くという、どことなく「日常感」が漂っており、求めている「非日常感」があまり感じられなかったんですよね。
しかし実際に現地に訪れて一日過ごしてみると(訪れる時期を工夫すれば)なかなか楽しめるエリアであることがわかりました。

8:20 東武日光駅

朝の5時前に自宅を出発してからおよそ3時間半。時間的には前回の秩父・三峰口までに要する時間とほぼ同じ感じです。
そして駅前のターミナルからバスに乗り込み奥日光方面(中禅寺湖方面)を目指したのですが、出発すると猛烈な渋滞に巻き込まれてしまいました。
具体的にはバス内に立ったまま閉じ込められた状態で1時間経過しても、一つ目の停留所に到着しないレベルの渋滞。

9:30 自分を含めた乗客が諦めてバスを降り歩くことと相成りました

どうやら日光東照宮の改修が完了した直後のゴールデンウィーク、というタイミングであるため、かなりの数の観光客が集中してしまったらしい。東京から日帰りが出来る複合観光地域(神社、温泉、湖、湿原、山、滝…)ということをもう少し考慮すべきだったかと少し後悔しつつ、折角なので行けるところまで行ってみることにしました。中禅寺湖まではバスで40分~50分程度。歩ける距離ではないことから、最悪東照宮観光ENDかな、くらいの気持ちです。


15分程歩くと、東照宮方面(右)と中禅寺湖方面(左)の分岐に差し掛かりました。
どうやら目指している中禅寺湖方面には車列が形成されていないようです・・・、ということは改めてバスに乗ったほうが遥かに現地到着の実現性が上がってくれそうです。

10時過ぎにバス(中禅寺温泉行き)に乗車

本当は湯元温泉行きに乗れたほうがベストだったのですが、中禅寺温泉から登山口のある二荒山神社までは15分程度の湖畔沿いの歩き程度であることが判っていたため乗り込みました。

10:40 中禅寺湖

10:55 二荒山神社

想定時刻から1時間遅れですがなんとか現地に到着しました。
仕込んでいた登山計画上では何とか吸収出来そうです。

登山口前の事務所で登拝料500円を支払いつつ、登山届提出(記帳)及びお守りGET

どうやら男体山自体が二荒山神社の御神体、ということらしい。

11:00 本日開いたばかりの門をくぐりつつ登り開始


門をくぐった直後から1合目までは階段。登山道の階段は相変わらず苦手です…。

1合目付近では開山祭の儀式が執り行われていました

1合目から3合目までは樹林帯が続きます。難しい道は皆無ですが、単調な登りが断続的に続くので身体が温まるまでは少しシンドイですね。

3合目から4合目までは一旦登山道を出てアスファルト道を30分弱

アスファルト道に飽き始めたところで4合目の鳥居に到着。

12:00 4合目から再び登山道に突入

1時間ちょっとで全体の4割を登ったんだから楽勝かー?みたいな感じでしたが、実はここからが男体山登山の本番。一応高低差が1200メートルを有しているということもあり、そこそこの急登道が断続的に続きます。

登りつつ振り返ると中禅寺湖と山々の景色が見事

この鳥居ポイント以降、残雪地帯

登れないことはないですが、グリップの効く土が覆われ、尖った岩がむき出しになっているため下山時の難易度が上がっている感じでした。慎重に進みます…。

13:40 8合目の避難小屋

8合目以降は本格的な残雪地帯に入っていきます。

アイゼンを仕込んで来るべきだったかなぁ

結構滑りやすい状態ではあるのですが、ここまで雪で覆われていると尖った岩が隠されるため、逆に安全度が上がっています。
何故か写真だと傾斜がゆるく見えてしまいますが、下山途中でに尻もちをついてる方が多数がいらっしゃいました。

14:14 残雪地帯と火山岩地帯の境目

森林限界を超えると陽を遮るものがなくなるためだからでしょう、雪が完全に溶け切っています。路面環境の変遷が激しくて驚かされます。

14:25 目指す山頂を視界に捉えます

14:30 山頂(奥社)に到着

下界と比較すると気温は10度位低いです。

目に引くものが多くありますが、この、(どう見ても)おにぎりのインパクトたるや。深い意味が…あるに違いないです。三つ峠山の達磨岩っぽいですが、丸い部分に特に梵字は刻まされていませんでした。きっと心を研ぎ澄まして見ると「梅」とかの文字が浮かび上がるに違いない。

空にそびえる白刀の刃

RPGとかだと勇者が岩に刺さる聖剣を引き抜いたりしちゃいますが、こいつは刃が上。危なくて握れない。責任者は何処か。

パノラマ写真。若干ガスが出てきたため戦場ヶ原方面が望めず。

謎のオブジェクトに囲まれつつランチを食した後に下山開始。

15:00 下山開始

下界は青空が広がっているという谷川岳と同じパターンでした

急坂で慎重な下りを要求されたため、3合目から1合目の下りが地味にキツかったです(笑)

17:30 下山完了

湖とこのなだらかな稜線。男体山が火山であることを思い出させてくれます。

そういえばここ最近ですがこの男体山は活火山に認定されたそうです。
噴火の予兆はないとのことですが、御嶽山の1件もあるので登る方は頭の片隅に入れておいても良いかもしれないですね。

とは言え、神社から開始し、樹林、アスファルト、岩、雪、火山と眺望の良い山頂等、表情豊かな顔を見せてくれた今回の山行はとても充実し満足度が高かったです。

2017年5月1日月曜日

奥秩父・両神山(難易度:★★★☆☆)

今年一発目の登山は百名山の一つでもある秩父の両神山

一般ルートでのピストン

最初は東京から遠いことや紹介写真によく出てくる禍々しい山頂の狛犬(オオカミ)、首の取れた仏像、バリエーションルートの多さと滑落事故の発生率の高さから魅力の面においてイマイチ感が漂っておりました。

まるでタバコの箱に記載されている”命を短くする危険性”的な感じで案内地図上に列挙される事故の数々…

しかし色々調べてみると神話に出てくるイザナミ、イザナギを祀った山である、という話や、稜線が龍の背のようであるからなのか、龍神にちなんだ山であるという話を読んで食指が動いたのであります(我ながらチョロいね...)

正直なところもう少し余裕を持って登り降り出来るであろうと考えていましたが、シーズン一発目ということもあり大分ボリュームを感じる山行となったのでした。

登山口までは片道4時間(出発:5時前~登山口到着:9時半)ということもあり日帰りの限界ギリギリといった感じです。前に乾徳山に日帰りで登りに行きましたが、それに近いものが有ります。

行程としては下記の通り。

池袋~(西武池袋線)~飯能~(西武秩父線)~西武秩父~御花畑~(秩父鉄道)~三峰口~(小鹿野町営バス)~日向大谷口
7:30 御花畑駅にてラッピング列車に遭遇。派手だ・・・。

8:13 三峰口

ここでバスに乗り継ぐのですが、いざ乗ろうとしたところ小銭がなく慌てて両替をしようとしたものの改札、バス、売店のどこも取り合ってもらえず少し難儀しました。

本数は少なめですが、片道400円とかなりの良心価格設定

9:40 30分~40分程度で登山口である日向大谷口に到着


少し登ったところにある両神山荘脇で登山届を提出出来るようになっています。
今回はWEB等での提出を行っていないのでここで一筆したためたのですが、基本的には事前にここから申請しておいたほうが良いです。人が多く結構並びますので…。

10:00 出発

登山口に咲き誇ってる花々にちょっと期待が膨らんだのですが、道中にはそういったアクティビティは一切なく、ひたすらストイックな道が続いていた点はちょっと残念だったかな。


道に入ってすぐのところにある鳥居。信仰の山って感じです。



進んでゆくと、若干整備が追いついていないところも散見されましたが、ルートは明確で概ね問題はありません。

10:30 七滝沢ルートとの分岐

30分程歩くと、七滝沢ルートという北から進むルート(あとで合流)との分岐があります。特に見どころもないようですので、難易度を上げてまで進む道ではないと考え、南側のルートを進みます。


今回のルートは前半はこのような沢沿いの道ということで、何度もスイッチバックしながら徐々に高度を上げてゆきます。
例えるなら棒ノ折山の白谷沢ルートをスケールアップした感じと言って良いかもしれません。

所々に新しい感じの像

それにしても顔と胴体のスケールに納得が行かず気になって仕方がなかった(おそらく顔部分を作ってから付け足すように胴体を作ったのではなかろーか)のですが、自分自身に「これは"そういうもの"ではない」となだめすかしつつ進みます(笑)。

沢沿いの道は緑に抱かれる感と清涼感があってなかなか良いです

11:50 チェックポイントである弘法の井戸

水場の上には弘法大師(空海)。やはり他の山と比較すると フィギュア 像が多い感じです。

12:04 両神清滝小屋

この小屋は現在は無人ですが、避難小屋として使用されているようです。大分立派な建物でしたが、訪れる客の数から考えて決して楽な経営にはならないのかもな…。
道中、あまり座り込める場所もなかったことから、大分沢山の人が休憩していました。

12:18 小屋から少し登った地点で七滝沢ルートと合流

その後も断続的に登りが続き…

13:00 神社のお社


禍々しさと愛嬌の微妙なブレンド感がなんとも言えない感じです(笑)
狛犬というより一応オオカミってことらしいですが、もう少し造形的に、こう、何とかならないもんでしょうか。
・・・近くに寄るとわかるのですが、この不気味さは「笑いたいのか」「威嚇したいのか」がはっきり判断しかねる感じ(=言い知れぬ不安)を見る人に与えちゃうからなんでしょうね。"あいつ何考えてんだか判らないから近寄り難いよ"的な。んー。

お社から頂上までは30分ちょっと。山頂まではあと一息です。

13:46 山頂直下の鎖場と上から眺めた図

今回のルートである日向大谷ルートは、後半にポツリポツリと鎖場が点在するのですが、その度にトレッキングポールを出し入れしなければならないのが若干手間です。。。

そして山頂に到着!

13:50 両神山山頂と祠

これまでの道中で眺望の良いところが皆無だったため、山頂は独特の開放感があります。
天候が良かったので大分遠くまで見渡すことが出来たのもラッキーでした。

そういえばパノラマ写真撮影モードが有ることを忘れてましたね・・・

昼食後はひたすら下り。

16:45 下山完了

バスは17:20出発であったため、少し余裕が有りましたが、ほぼノンストップで下ってきたこともあり大分体力を使った感じです。


人数調査のためのカウンター

登山届を書いた際には気づきませんでしたが、カウンターが置かれていたので遅ればせながら1クリック。


18:14 三峰口駅

バスと電車の接続がギリギリであったことから、バスの運転手(橋爪功っぽかった)が「切符は到着駅で買ってくれれば良いから早く乗って!」的な案内に促されるように急いで乗り込みました。
(身体が登山後でバキバキだったため、このダッシュは結構堪えました)
その際、案内で構内に流れ込んだ乗客に駅員が「あっ・・・」と声を漏らしつつ慌てていたようなんですが、大丈夫だったんだろうか。

18:40 西武秩父駅

昨年工事をしていた西武秩父駅の温泉施設がオープンしており、ゴールデンウィークということもあるのでしょう、大分繁盛している模様。
自分は温泉に入ってしまうとそのまま酒を飲んで寝込んでしまうこと必至であったため、自宅まで我慢します。

そう思い乗り込んだ西武線でしたが、人身事故により遅延が発生して帰り着いたのは10時近く。実はこの日の前日両神山では白骨死体が発見されたり、本日も隣の二子山でヘリが出動する事故が起きたりと、直接的な関与は無いのですが、妙に怪我や死の情報が出回っていて一人ビクビクしてました…。


今シーズンはどこに登ろうかねぇ