2017年10月29日日曜日

オーディオノイズと試行錯誤

知らなきゃ幸せ。知ろうとしなければ何の問題もない。
しかし知ってしまうと求めずにはいられない。オーディオって常にそんな感じです。

今回は自分のヘッドフォン環境におけるノイズ対策のために色々やった際の記録です。


これまで色々とオーディオ機器を買い集めて満足できる音を作ってきたつもりだったんですが、ここ最近、使用頻度が少し下がっていたんですよね。
耳が蒸れやすい夏ならまだしも季節は秋。ある意味これからまさにシーズン真っ只中だというのにどういうことだろう。

単純に音を聴くだけなら何の問題もないんです。
そう思うんですが、数十分聴き続けると「なんか、もういいや…」とヘッドフォンを外してしまいたくなる音。曲がドラマチックに展開するところで本来であれば「感動」「満足感」を得られるはずなのに「煩さ」「うっとおしさ」が湧き上がる音。そんな感じ。

良い状況の音を3次元と表現するなら、音像・輪郭がボヤケて2次元的な表現しか出来ない…といったほうがより伝わる表現だったりしますでしょうか。

とにかく何かが違う。確実に言えるのは使用しているHA5000、W5000とDAC1000の本来の音ではないということ。


そんな違和感を感じながらも音を聴いていたんですが、パソコン画面上のウインドウスクロール操作を行った際、動作に合わせるようにノイズが出ちゃっていることに気づきました。

自分なりにコストを掛けたつもりのシステムなので「ノイズ」なんて初歩的なものに足を取られるなんて思っていなかった、というのが正直な所。しかし大した音量も出していないのにノイズが乗る、というのは環境が根本的にダメな箇所があることの証左です。

切り分けを進めると音を濁らせていた原因として判明したのは以下の点でした。
  • パソコン本体のマザーボードから発する電磁波ノイズをDACとアンプの間に使用していたインターコネクトケーブル(アンバランスケーブル)が拾っていた。
この問題は、インターコネクトケーブルの短尺化とパソコン本体からの距離を離すことで大幅に解消。パソコン画面上のウインドウをスクロールしてもヘッドフォン上にノイズが乗らなくなりました。

自作した短尺インターコネクトケーブル(mogami3368)

これでまた満足行く音が聴けるだろう、と思ったんですがやはりまだ何かがおかしい。
満足を感じる音が出ていない。耳と脳は正直です。駄目な音は駄目。

特に使用しているHA5000、W5000は両者共に上流環境に大きく左右されるタイプの機器。ならば上流の機器の状態、または機器間のネットワーク部分を疑うべきだろう。
その後、改めて原因を一つ一つ切り分けて行き、音を出さない状態でアンプのボリュームを最大にした際、大分酷い電磁波ノイズが載っていることが判明しました。
HA5000は機器の優れた特性としてボリュームを最大にしてもホワイトノイズを始めとした雑音が一切出ないことが判っていましたので、またどこかでノイズを受信している、と言うことになります。やれやれ、と言った感じですね…。


インターコネクト部分は1つ目の問題で解決済みですので、別のケーブル…。
まさか電源ケーブルか…。

でも電源ってタップから機器に通電した際、本体内部で直流化される際に大部分のノイズはカットされる筈(…と思っていた)。・・・色々試行錯誤をした結果として、2つ目の原因は以下の通りでした。
  • 他の機器で使用していたACアダプタから発するノイズを、アンプとDACの電源プラグが拾っていた。(媒介したのが電磁波なのか、グランド線なのか、までは判らず)
今回の主犯であるアイコー電子のSTD-12020U、SW-1212S

他の機器のACアダプタ(RASTEME社のRUDD14、UDAC32R)と、HA5000及びDAC1000の電源プラグを隣接する形でタップに射していたのですが、これが良くなかったということです。

RASTEME社の機器は複数所有していてどれもかなり良い製品なんですが、ACアダプタにスイッチング電源を採用している点だけはテキトーですね。。。こいつの前ではケーブルやタップにどれ程良いものを使っていようが全てが台無しです。

・・・
早速ACアダプタの設置位置を見直すと、ヘッドフォンから奏でられる音がビックリするくらい改善されるじゃないですか。「うわ、何だこれ?(笑)」の世界。

薄っぺらかった音に血が通い始め、ピアノやギター、ヴァイオリンの胴鳴りが耳の奥を、それはそれは気持ち良く叩いてくれる様になったのでした。


話が判ってしまうと自分よりもっと詳しいオーディオ兄貴からは「なんでそんな適当なことやってたの?」と突っ込まれそうではあります。この手の話はノイズ対策としてはあまりに当たり前の話なので…。

ですが、どれ程当たり前の話であっても電源のとり方やケーブルの設置位置で音を良くしようと"手を動かすモチベーション"が湧いてこないんですよね。自分で気付く経験がないと。

しかし今回の一件で学びました。
電源は音に影響があること。そして音声関連のケーブルもシールド云々以前に内外の環境に拠ってはノイズで簡単に音が濁ってしまうこと。アナログ信号をやり取りしているケーブルなら尚更。パソコンは本当にオーディオ的にかなり厳しい環境であること。等々。

すると電源関連のオプションがまた欲しくなってくるんですよね。
電源ジェネレータとかダウントランス…。アレ、欲しいよなぁ。

駄目ですねホント(笑)

マイ電柱(特注のトランス)が欲しくなるのももうすぐです。

2017年10月22日日曜日

丹沢・塔ノ岳(take4)(難易度:★★☆☆☆)

10月以降は3000mの山々は気温、日の短さから目指すことが難しくなるため、今回は2000m以下の近場である丹沢の塔ノ岳を歩いてきました。
(近場の山を歩くプランをろくに練っていなかった、というのが正直なところですが…)

丹沢はやはり公共交通機関を使った場合のアクセスの良さが最高なんですよね。

最初は大山から塔ノ岳までの縦走、または鍋割山まで行ってみたいかな~と考えていましたが、登山計画上では時間的に余裕がなくなってくることが判明したため、いつも通りの表尾根に決定しました。

定番の丹沢・表尾根縦走路

流石に4,5回歩いている道ですので大きな心配はありませんが、今シーズンは9月を除き異様に続く悪天候が特徴的であることもあり、晴れ予報マークが見えた一日ではあったものの油断は出来ません。
・・・
いつものように小田急で新宿から秦野を経由し、バスでヤビツ峠に向かいます。

7:54 ヤビツ峠着

陽がちゃんと出てくれているので常にガスに覆われている山頂からの眺望も、もしかしたら・・・と期待が膨らみます。

8:16 まずは二ノ塔に向けてスタート

登り始めると意外と息が切れるんですよね。
これまで少し高い山を幾つか登ったことで気持ちの上で慢心している点もきっとあるんだろうな・・・等と考えつつペースをよく考えて上げていきます。


樹林帯を抜けると秦野市街と相模湾が一望できるポイントに到着するのですが、東から雲の塊が・・・。

9:24 二ノ塔

ここから三ノ塔を目指すのですが、三ノ塔はヤビツ峠からのルートに加えて、今回のゴール地点である大倉バス停から直接登るルートもあるようですね。これなら周回ルートが組めるのでマイカーを使ったアクセスが可能になるのかな。

9:44 三ノ塔

この雲の引っかかり方から見て、経験的に山頂からの眺望が絶望的あることを悟る。

丹沢表尾根稜線

稜線の片側がガスで覆われてしまっています。コレはコレでダイナミックな絵にはなっているんですよね。

10:16 鳥尾山

ここから少しだけ鎖場が出てきます。

いつも通りの表尾根

歩いていて感じるのは丹沢は年齢層が非常に幅広いところですよね。
奥多摩や高尾の低年齢層向けのヤングな雰囲気や、逆に秩父の高い年齢層向けのシブい雰囲気と言った偏りがあまり無いような気がします。

11:55 新大日

ボチボチ山頂が近づいてきます。

樹林とガスに伸びてゆく木道の景色。

日がもう少し陰ってガスがしっかりかかると丹沢度数(?)が上がります。
自分の好きな雰囲気なので、ガスるならガスる。晴れるなら晴れるでメリハリがあると嬉しいんですけどね~。

12:30 塔ノ岳山頂

今回も残念ながら眺望は望めず・・・。
皆、何も見えない状態であるにも関わらず富士山の方面を見つつランチを取っているところが些かシュールであります。
これはアレですね。恐らく心の目で見るのでしょう。ラーメンを啜りながら半開きの目で少し頑張ってみましたが駄目っぽいので止めました。きっと煩悩が多すぎるせいでしょう。

とにかく人が多い。うーん。

自分も休憩&昼食で大休止した後に下山を開始します。

下っている最中にはこんな幻想的な風景も。丹沢度数(↑)

タイミングが良ければ野生のシカが現れてくれたりするんですよね。まさしくアンビエントの世界ってわけです。本日は日曜日であったため人が多くチャンスはなさそうですが…。

16:00 下山完了

無事下山完了。下山口にいるこの妙な蝋人形(通称・丹沢クリステルというらしい)が何故か2体に増えていました…。(前は1体だけだったと思うんだけど…気のせいかな?)
この後ほんの少しだけですが雨がパラつき始めたのでバス停に向けて歩いて行きます。

17:00 渋沢駅

そして今回も列車が来るまで一番搾りでクイッとやって締める事が出来たのでした。
やっぱりコレだね。うん。

・・・

塔ノ岳ハイキングは1日が非常に綺麗に使い切れるので大好きですね。人が多すぎるのは玉に瑕…といったところでしょうか。
自分は蛭ヶ岳から丹沢を経由して塔ノ岳に至る稜線が大好きなので、ユーシンロッジ辺りまでバスが延びてくれたらなぁ、と思うのですが、そうなればアクセスが良すぎてあの静かな稜線歩きも出来なくなっちゃうかもしれないですね。

ともあれ表尾根を歩く場合は、普通の休日祝日に遊びに行くには満足度の面から一考の余地ありと思われました。

今シーズンはこれで登り納めかなぁ。
11月くらいに紅葉登山してみたい気もするけどどうしようか…。

2017年10月9日月曜日

谷川連峰・平標山~仙ノ倉山(難易度:★☆☆☆☆)

この時期は秋晴れによる快晴が多いのですが、逆に日没が早くなるので選べるコースも近場になりがちです。しかしこの紺碧の空を見過ごしたくないなぁ、とも思うわけです。

翌日の仕事を考慮して日帰り、且つ体力も然程削られない良い場所は無いだろうか。
最初は日光白根山、甲斐駒ケ岳(北沢峠ルート)、山梨の金峰山や甲武信ヶ岳を検討しましたが、やっぱり時間による縛りが大きいんですよね。とにかく山に入っている際は焦りたくない。

前回の白馬からの眺望によるインパクトが大きかったので、それに劣らない場所ということを条件に入れた場合、東京近郊では最早ポイントが無いと言って良く、新幹線の力を借りるしか無いと思うに至りました。

結論としては、今回は谷川連峰縦走路の西に位置する平標山、仙ノ倉山の稜線を歩いてみることに。絶景の稜線がここにもありました。

バス停(平標登山口)を起点とした周回コース

今回は上野駅から上越新幹線でスタートです。
3年前に山登りを始めたときは、まさか新幹線に乗ってまで出かける程の価値が自分の中に生まれるとは思わなかった・・・。

6:14発を使いました

越後湯沢からのバスで座りたかったこともあり、少し早めの出発。

越後湯沢にてバスが到着するまで日光浴

それにしても新幹線の驚異的な速さには今更ながら驚きます。1時間ちょっとで越後湯沢に到着したのですが、コレって池袋から西武秩父までに要する時間よりもずっと短い時間ってことなんですよね。頭を抱えるレベルです。
まさに時間をお金で買った、という感じでしょうか。1時間、2時間の違いが計画にかなりの影響を与える登山においては効果絶大です。

8:54 平標登山口バス停

越後湯沢駅から30分ほどバスに揺られて平標登山口バス停まで移動します。600円也。
位置的には苗場スキー場の手前になります。そして平標登山口バス停から数分歩くと別荘地があり、右折した道の奥に進むと登山口。

9:02 スタート

序盤は樹林帯ですが、少し登ると徐々に景色が開けてきます。
すると松手山の手前に位置する最初のチェックポイントとなる鉄塔が見えてきます。


やはり東京近郊山々にありがちな杉の人造林よりも柔らかい雰囲気が良い感じ。
1時間ほど歩いたところで鉄塔下の休憩ポイントに到着。

9:57 鉄塔下

水とエネルギー補充後に更に先に進みます。
そしてこの地点から高度を上げると森林限界を超えて眺望が凄い事になってきます。
稜線を進んだ先が平標山で、その山の向こうに目指す仙ノ倉山が鎮座しているって寸法。

進む先には芝紅葉、振り返ると苗場スキー場

苗場スキー場は自分が初めてスキーにトライした場所なんですが、あの時は夜行バスだったので地理的な感覚が全く把握出来ていませんでした。随分と奥まったところにあったんですねぇ。

10:30 通過地点となる松手山山頂

ここで数人の登山客とすれ違いました。谷川岳からの縦走者だろうか?
この時間に下山ということは肩の小屋の出発が4時~5時と思われるので、今日の天気を踏まえると凄いご来光を拝んだことになりますな。羨ましい…。

道が良く整備されており、他の山々と比べても一級品

松手山以降はほぼ遮る木々がなく、日光、風が直接当たって来ます。
今回は程よく涼しい風が吹いていた程度ですが、気温が極端に下がったり天候が荒れた場合は結構大変そう。
逆に見通しがとても良いので、積雪後の登山は景色が凄まじいんだろうなとも思います。
チャンスと天候に恵まれたら行ってみたいですが、それ以前に装備も仲間も無いのであった。

既に紅葉が始まっていました

東京の紅葉は11月の中旬から終盤にかけてであるため、1月以上早い事になります。
上信越はやはり季節の移り変わりが大きく違いますね。

11:50 平標山山頂

見事なほどの360度ビュー

そしてその先は山上の楽園と言える素晴らしい稜線道が、ただ一本続いていました。
ニヤニヤしながら先に進みます!

仙ノ倉山への道

振り返ると階段が鉄道の線路のよう。銀河鉄道がやって来そう。

山から山への道であるため下った後に登り返しがあるのですが、流石にこの景色を見るとグウの音も出ません。

最初はこの先の丘のピークが仙ノ倉山かと思ってましたが・・・

登ってみるとその丘を一旦降りて登った前方のピークが仙ノ倉山でした。

12:45 仙ノ倉山山頂

このピークから周りを見渡すと谷川岳に続く万太郎山、先程登ってきた平標山の全てがマルっと一望できます!

今シーズンの前半に谷川岳に登りましたが、あの時はあちらからこっちを見ていたんだよな。今頃あちらも賑わっているのだろう。いつか、谷川岳の肩の小屋に一泊してからこちらに繋げてみたいものです。

春に登った谷川岳から仙ノ倉山を臨んだ際の絵


・・・などと考えていたらスマートフォンの電源が切れてしまいました。
今回は日帰りだったのでバッテリーを持ってきておらず、残念ながら復路の写真が以降全く撮れなくなってしまいました。

その後は天候が崩れることもなく特に問題がなかったのですが、平標山乃家に下る際に平標山自体の巻道がないことと、下山してからバス停まで1時間以上歩いたので少々疲れたという記憶が残っております。

バス停に到着したのは15時過ぎだったのですが、残念ながらその直後にバス(予定していた便より一つ早いやつ)を目の前で見送ることと相成りました。仕方がないのでお昼に食べていなかったカレーメシをグルグル回しながら17時のバスを待つ事に。時間に余裕がなくて焦るよりずっと良いのでまぁ良いのでしょう。

・・・

というわけで新幹線を使った上信越での登山記録でした。
登山というよりハイキングに近く、今回のように天候に恵まれれば天国、逆に荒れると地獄の谷川連峰。今回は結果が良かったので大満足の一日でありました。

新幹線をもっと自在に使えれば行動範囲が広がって・・・と思えなくもないのですが、逆に制約されているからこそ限られた機会での山行の喜びが大きくなるという考え方もありましょう。

今シーズンはもう秋に入ってしまうので来シーズンまで2000m峰以上は極力控えようと思いますが、近場で日帰りが可能な良い山は無いだろうか?