2022年8月7日日曜日

鳥海山(難易度:★★★★☆)

今回は昨日に引き続いて山形県と秋田県の県境にある鳥海山に登ります。

吹浦口ルートを進みます

肝となるのはタイムスケジュール。登山計画が標準タイムの0.9掛けとなっています。
理由は登山口までのアクセスとして乗り合いタクシーを利用しているため。事実上往路、復路1本ずつしかなく、遅れると駅まで歩きか1万円以上をかけてタクシーを呼び寄せなければならないため、進退を見極めつつ慎重かつ安全に歩く必要があります。

6:16 羽越本線・酒田駅

最初に乗り合いタクシーが来る遊佐駅に移動。車窓からの眺めが潔いくらいに青と緑の世界。

田園風景がとても綺麗

6:47 遊佐駅

ここから乗り合いタクシーに乗って登山口まで移動。結局客は自分しかおらず、実質普通のタクシーと変わらず。というか登山口までタクシー車両でアクセス出来たのは実は初めてかもしれない。

7:40 大平登山口

登山届を投函した後に歩き始めますが、最初は地味な伝石坂という九十九折りの道を歩いてゆきます。道にある程度のコンクリートが流し込まれていたため、ソールのグリップが気持ちよく吸い付いてくれます。

8:15 見晴台

見晴台からは日本海の奥の方までスパッと綺麗に見えるピーカンで、素晴らしい山行を予感させてくれます。

酷暑

しかし雲がかかっていないということは日差しが身体へダイレクトに照射されることとなります。景色の美しさと引き換えに体力を大きく削ってゆく感じ。

9:00 河原宿とヨーカン

カロリーと水をちょっとずつ入れながら進んでいきます。この接種配分・ペースは(手前味噌でありますが…)数をこなしたから出来るものだと思います。

9:20 三途の川を超える


そして稜線まで這い上がるとご神体が鎮座していたのですが、ここからはお花畑が断続的に続いており、天界に辿り着いた感すら有ります。登山者の口々から「凄い!」の歓喜の言葉が出てきておりましたが実際に凄いものがありました。


そこからしばらく進むと鏡のような鳥海湖が顕現。


山やってて良かったなー、などとニコニコしながら花畑の稜線を進んでゆきます。

9:50 扇子森

下界にちょっとした雲海も形成されてテンションが上がります。良いねぇ。


ここまで咲き誇られては写真を撮り続けざるを得ない。楽しいしこればっかりはもう仕様がないです。(後でここで時間ロスをしていなければ、という話に跳ねてしまいます…)

10:19 御田ヶ原

そして現実に引き戻されるのがこの辺りからになります。

11:02 千蛇谷分岐

一旦降りて登ったところに分岐有り。ルートがはっきり見えることもありなかなかの歩いてきた感です。そして山頂に近づいているかと思いきや、実はここから雪渓を抱える千蛇谷まで下りて、さらに登り上げた先が山頂になります。


軽アイゼンを持ってきてないのですが、ここは雪渓横断のみなので問題なしです。キックステップすら必要ありません。


玄武岩地帯を超えるとあと少し…。ここが一番シンドかったかな。何故か槍沢ルートを思い出しました。

12:15 大物忌神社

ここで昼食をとりつつ新山の山頂にアタックするかを少し考える。13時前には下山を始める必要があるが、岩場登攀なのでコースタイム40分で実質的に往復50分くらいの余裕を確保したい、が無い。体力的な余裕も実はそれ程無い。


とりあえずヘルメットを被って手にグリップを付けて少し上げてみましたが、浮石が結構散在しており、無駄な高度感とカラリと音を立てる玄武岩に良いイメージを掴めず「今は自分が行くべき道ではない」と判断出来たので引き返すことにしました。濃い時間。
過去の剱岳や槍ヶ岳のように前日現地に入って時間、体力、天候を見極めた上でリスクをとっていたことを思い出し、最後の最後で少し残念ですがここを私の山頂としました。うむ。


…で、そんなことがありつつふと時計を見ると13:00。考えていた時間が大きかったこともあり4.5hで上げてきた道を3hで登山口に戻るのもちょっとばかり頑張りが必要そう。


帰りもまぁ、勿体ないくらいに綺麗な眺望ですが、ササっと引き返します。

15:00 三途の川を戻る

ここの雪解け水で顔を洗っていたのですが、露出していた皮膚の焼け方が尋常ではないことが判明。とりあえず出血はなかったが危機的な赤さであったため翌々日以降の出社に影響が出てしまうことを覚悟(笑)

16:10 下山

タクシーが来る5分前に到着。今回の時間の使い方は次回以降の大きな大きな改善材料。歩き始めての2日目以降でデッドラインがあるのに0.9掛けはやはり良くなかった、という点と鳥海タクシーの1便&8便を使った山頂ピストンは状況に応じた柔軟なスケジュール変更判断能力が必要と感じました。

アディオス、鳥海山

帰りのタクシーは自分含めて3人でしたが全員遊佐駅まで口を開けたまま爆睡。まぁそうなるよね。

お疲れ山!

それにしても花畑の美しいお山でありました。また機会があれば遊びに行きたいものです。その時はもう少し陽射しが優しく、時間的な余裕が見込める計画でチャレンジしたいね。

酒田駅に戻ってバスが来るまでの一杯。至高。

夏休みの前半、終了!

出羽三山・月山(難易度:★★☆☆☆)

今年も夏山シーズンが始まって色々と計画を立ててはいましたが、7月が悪天でほぼ全滅する勢いのあったここ数週間。長野、山梨方面ばかりに目を向けているからダメなのかなぁ?と思い天気予報を注視していたところ、東北方面の晴天予報が堅そうであることを発見しましたので今回は山形に遊びに行ってきました。

実はこの山行も4年越しの実現(笑)

月山は山形県の中央部に位置し、高層湿原の広がる弥陀ヶ原を起点に上り上げる霊峰。”ワンミスで滑落”というポイントもなく、登りもクリティカルパスで3時間弱とちょっとしたトレッキング向いた一座となっています。

5:30 エスモールバスターミナル

今回は上野駅から鶴岡駅近くのバスターミナルまでの夜行バスを利用し現地にアクセス。3列シートで隣客を気にせず惰眠を貪れるので歩きに備えつつ現地入りすることが出来ました。

道中潜る大きな鳥居が印象的

で、そこから登山口である月山8合目まで2時間路線バスに乗るのですが、実は途中で出羽三山の一座である羽黒山の山頂をバスで素通りします。今回のターゲットである月山が二座目であることから、歩き始める前から三座目の湯殿山(そもそも登山ルートが無い?)が気になって仕方ありません。。。

8:00 月山8合目

少々雲がかかっていましたが、降られることはなさそう。寧ろガチで陽に当たると皮膚が焦げ上がってしまうのでしまうため、実はこれくらいが程々で良いのであります。

8:30 弥陀ヶ原分岐

湿原は左ルート(北ルート)から進み、復路で右ルート(南ルート)から戻ります。


樹林帯の無い解放感溢れるトレッキングルートはまさしく東北方面の特徴といった感じでして、気を天高く開放しつつ非常に気持ち良く歩くことが出来るのです。

そういえば東北方面でのルートの良くある作りとして樹林帯の歩きがほぼないのが不思議です。歩きで上げてゆくようにすれば道の保守コストも下げられるだろうし、半強制的に小屋泊に誘導するような鉄道、バス便の時間設定も可能な筈なんですけどね。有難いことですな。



様々な花々が咲き誇る美しい湿原は一見の価値有りです。ニッコウキスゲがやはり凛としていて目立つのですが、個人的にはそれらを包含する山全体としての在り方に美しさを感じます。

8:36 御田原参篭所

手を合わせつつ2日間の歩きの無事を祈ります。



少しだけ雪渓が残っていましたが、ルート上にはかかっておらず敷き詰められている岩の上を歩いて行けます。ただし足を置いた際に(浮石が多いわけではなかったのですが、)微妙に重心がブレやすい印象がありました。

10:00 仏生池小屋

山頂に近づくにつれてガスる良くあるパターン。


写真だと寒そうに見えますが、実は気温30度近く。汗が噴き出ています。
この中を修験者の格好をした登山者と一緒に上り上げてゆきます。


黙々と歩いてゆくと…

11:15 月山山頂

山頂からは西方は稜線に雲がバンバンぶつかっていて景色を望めませんでしたが、東方はある程度の視界を確保できていました。
今日は空の表情が豊かで、曇りと晴れの間を揺れている感じが堪らなかったです。ガスで先が見えないような状態から一気に眩しい光が射し始めるあの感じが何度も何度も自分を包むのです。朝夕であればブロッケン現象を拝めたかもしれません。小屋泊した人の特権かな。

行者ヶ原のコバイケイソウと池塘が美しかった

その後は時間に物凄く余裕があったため花に囲まれつつ昼寝。やはり登山を十二分に楽しむためには体力と天候と時間の3つのリソース確保がとてもとても大切ですね。

14:20 下山

今回登った月山では鶴岡駅から路線バスを利用してのアクセスでしたが、歩きを豊かに彩ってくれた「時間的な余裕」が決定的でした。リソース管理をギリギリしながら歩きを堪能することは難しいですからね…。

きたまえ塩サイダー300円也。オッサンの私には量が少ないためチュパチュパ飲む。美味し。

・・・
東北山形方面に住んでいる人はこういう道を(私の丹沢、奥多摩感覚で)遊びに行けるのですから羨ましい。ですが年に数回歩けるからこそ感じられるものも有りましょう。

鶴岡駅に到着後は翌日に備えて鶴岡駅から宿のある酒田駅に移動します。