今回は仕事の都合や台風10号の影響で2度ほど計画を立て直す必要があったことから、開始以前から前途多難な感じでした。
ですが結果としては、山の神様が微笑んでくれたのではなかろうかと思える程の天気に恵まれ、圧倒的な景色を楽しむことが出来ました。
美濃戸口から歩き始め、赤岳天望荘を経て、稜線をハイクするオーソドックスなコース
まずは新宿からあずさ号に乗って茅野駅に向かいます。
10:16 JR茅野駅
台風10号の過ぎ去った後ということもあり、上々の天候で期待が膨らみます。
茅野駅からは路線バスを使います。
但しあまり本数が出ておらず、シーズン(7月~9月)の後半は平日の場合、茅野駅からの始発が10:25になり計画上では少々微妙。
というのも、今回の様に平日の場合、土日祝日のような山小屋が客で溢れかえる状態は避けることが出来るのですが、スタートが1時間以上後ろに倒れてしまう(=小屋到着後は日が傾いているため、そのまま山頂を目指しにくい)というちょっとしたトレードオフが発生してしまうようです。
バスが有るだけ有り難いんですけど、もう1時間ちょっと早めの便があると嬉しいかな、と思う。
10:59 美濃戸口(八ヶ岳山荘前)
まずは出発地点となる美濃戸口から赤岳山荘に向けて車道を歩いていきます。
11:04 登山道入り口
標識に出ている赤岳、阿弥陀岳の文字に否応なしにテンションが上がります。
こんな感じの道をまずは1時間程度歩きます。
時折車道と歩道の分岐が有りますが、どちらでもOKのようであったため歩道を進む。
(この様などちらも同じ行き先を示している表示板は少し考え込んでしまいます)
11:49 チェックポイントであるやまのこ村&赤岳山荘
特に問題が無かったため、そのまま進みます。
12:07 美濃戸山荘
ここまでは片道1時間程度ということもあり、車で移動出来る人が少し羨ましいですねぇ。但し、路面状態があまり良くなく、道幅が狭いため車のすれ違いには少し難儀しそうでした。
12:07 ここから右折して南沢を経由し、行者小屋方面に向かいます
南沢ルートは赤岳を目指して清涼感&開放感のある道を楽しむことが出来ます!
野生のカモシカにもエンカウントできました!
12:10 南沢ルート入口にていきなり出鼻をくじかれる
ただし、踏み跡を適当に辿ろうとすると道迷いのリスクが一気に跳ね上がります。
上の写真は入って2,3分程度の地点ですが、踏み跡の続く左前方の道がロープによりシャットダウンされています。
周りを見ると右方向に伸びるルートが発見出来たのですが、ロープによる指示が無いとかなり判り難い感じでした。
目印のロープとリボンを丁寧に辿る
要するにこれまでにかなり多くの人がルートをロスっていたという事なのでしょう。
14:07 自分的に一番微妙と感じたポイント
誤ルートを2,3分ほど進んだ先にあった妙な分岐(分岐先に見えたルートも不明瞭)に目印が全く無く、異常を察知してその前に確認したリボンまで引き返したのが右の写真です。
うーん。黄色のリボンは気付き難いように感じたので、ロープでシャットダウンしてくれると有り難いかなぁ~、と思ってしまう。
以前、清八山に登った際にも道を直進するとルートを外してしまうというトラップが存在しましたが、今回はこれが多発しています。
例えばこの分岐は?(歩いてきたルートを直進すると左に進むこととなります)
正解はリボンの目印が示しているように少し荒れた左の道。
こちらはどうでしょう?(歩いてきたルートを直進すると左に進むこととなります)
正解は右の道。
踏み跡が伸びていますが先に進んでも良いのでしょうか?
正解は岩の「×」が示す通りNGです。
ここは・・・岩に矢印が示されていますので、ここは沢を横断します。
このように進むべきルートのヒントが表示板ではない様々な形で隠されています。
基本的なルールではありますが、以下を守れば間違いなく進むことが出来ると思います。
- ルートに不安を感じたら目印(リボン、ロープ、岩などに示された矢印、ケルン)を探す
- 目印が無ければその前に確認した目印まで引き返す
- 地図とコンパスで今いる位置を把握する(補助としてGPSなどを使う)
という事で南沢ルートを使用される際はアンテナをしっかり張って進んでくださいね~。
14:37 ヘリポートと行者小屋の文字を確認
ここまで来たらもう一息です。
14:40 赤岳直下の行者小屋に到着
八ヶ岳の山々による稜線と、厳つい山容に圧倒さつつ15分ほど休憩。
後は赤岳天望荘まで1時間30分程ですが、これまであまり高度を上げていないこともあり、急な登りが続きそうです。
ここで出会った年配の男性と少し話をしたのですが、彼はここで一泊し、翌日稜線に上がってから縦走後に赤岳鉱泉側で一泊という2泊3日のスケジュールを組んでるとのことでした。
スケジュールにゆとりを持てると心理的、体力的に余裕が出てきて良い感じですよね~。
14:58 地蔵尾根への登り開始
ここからが登山の本番と言って良いと思います。気合が入ります!
赤岳の名が示す通り土が赤い
赤い土と階段&鎖が断続的に続く
トラバースを進むとかなりの急斜面に地蔵あり。
阿弥陀岳と中岳を見つめ続けているようでした。手を合わせます。
地蔵尾根は若干の高度感がありましたが、階段や鎖が豊富にあり、登る分には問題ないと感じました。今の自分には楽しくモリモリ登っていける道です。
但し、谷川岳(西黒尾根)にビビりまくっていた昨年の状態でここを登ることとなっていたら、結構怖い思いをしていたかも・・・、です。道のレベル的には中級に足を踏み入れてる感じでしょうか。
雨などで道、鎖が濡れていた場合はあまりお勧め出来ないルートかもしれません。
雨などで道、鎖が濡れていた場合はあまりお勧め出来ないルートかもしれません。
岩を登ってゆくと、何かが見えます・・・
16:12 地蔵の頭
ようやく稜線まで這い上がることが出来ました。
この表示板の下にも地蔵が安置されており、おばちゃん集団に写真を撮られまくっていました。
八ヶ岳のアイドルなんだろうね~。
八ヶ岳のアイドルなんだろうね~。
賽銭箱(?)と思われる鉄箱の上には、何故か(登山客が積み上げたであろう)ケルンが。
風に吹き飛ばされないようにするためなのだろうか?
なんだか膝の上に石を積み上げられている様にも見えて、ちょっと可哀想な雰囲気を感じてしまったかな。
なんだか膝の上に石を積み上げられている様にも見えて、ちょっと可哀想な雰囲気を感じてしまったかな。
右を向くと今日のゴール地点
16:21 赤岳天望荘に到着
出来れば今日中に赤岳山頂に登り切ってしまいたかったのですが、山頂がガスったままであったため、明日に延期することとしました。
お湯、コーヒー、夕食朝食共にバイキング形式。どれも体力を使った後ということもありかなり美味しく感じられました。また山の上では珍しいと思われる五右衛門風呂も完備。更に今日は9月1日という事で客数自体が少なかったため、寝室スペースを1人で3人分も使うことが出来、熟睡することが出来ました。これは元気になるってものです。
前回の富士山での経験により山小屋に対するハードルがかなり下がっていたこともあり好印象!
そして翌朝・・・
朝焼けのグラデーション&眼下に雲海。天気は・・・晴れてくれています!
御来光により赤岳が更に紅く輝くモルゲンロート
前回の富士山に引き続き、良いものを観れました!
これまで登ってきた山で良い景色を臨めなかったのは全てこの日の為だったんじゃないか・・・とさえ思えてきました。
山頂に至るまでの難所。滑落事故も起きているので両手両足を使い慎重に進んでいきます。
なお、ここはかなり落石の発生しやすい箇所であるため、事故のリスクを減らすためにヘルメットを被るべきであると強く感じました。
6:27 赤岳頂上山荘到着
ここまでくると赤岳山頂目と鼻の先。
6:31 赤岳山頂
どこまでも青い空が広がっており、地平線が少し曲がって見えるほどでした。
アルプス方面の山々、及び富士山等を一望することが出来ます。
7:35 地蔵の頭
赤岳天望荘にてザックを回収した後、昨日這い上がってきたポイントから今度は横岳に向けて進みます。
横岳への道はトラバースが多いです。
また、鎖や梯子が多いためトレッキングポールをザックに収納し、両手が使える状態にて進んでいきます。
一見するとびっくりするような道に鎖が張られていますが、登り始めるとこれが結構楽しいもんです。
すれ違うことの多かった年配の方達も、この天候の良さに感動した旨を口々にされていましたが、まったくその通りでした。
8:36 大権現
9:16 横岳山頂
中岳を中心に、赤岳と阿弥陀岳の両翼が恰好良い。
9:28 難所(トラバース)のカニの横這い
足元が切れていて高度感があり怖いですが、進めないことはない感じ。
冬の氷結時期とか凄いんだろうね、ここ。
10:03 硫黄岳山荘
硫黄岳はあの平らな丘の上。
山荘はあっちにもっと大きなものを作れば良いのではなかろうか・・・とか思ってしまった。
硫黄岳への登り返し
天国に行けそうな道だ・・・。
10:30 硫黄岳山頂
硫黄岳は数十~数百万年前に火山だったらしいです。
ですが、火口自体がその噴火で吹き飛んだ“爆裂火口”と呼ばれているものらしく、完全なお椀の形を成していません。
まるで4年前にアメリカのグランドサークルを1周した際に訪れたグランドキャニオンを彷彿とさせる様態で雄大でした。
・・・
ここで小休止を挟んだ後、下山開始となります。
振り返ると赤岳方面が一瞬で雲の中に姿を隠してしまいました。太陽の熱で地表の水蒸気が温められ、お昼近くになると雲が上がってきてしまうのかもしれませんね。
10:49 赤岩の頭
その後も順調に高度を下げて行きます。
懸念していた膝の痛みも特になし。
硫黄岳から赤岳鉱泉に通じる道の難易度は、登りに使った地蔵尾根と比べると這って進む場所がほぼありません。このため滑落などは発生することもなさそうなので、かなり安全な道と感じました。
11:59 赤岳鉱泉
かなり大きなヒュッテでした。ここをベースに山々をめぐる人も多いようです。
北沢ルート
北沢は道が明確であり、南沢の様に目印を神経質に探して森の中を彷徨う感が有りません。
水量も豊富で歩いているだけで楽しくなれました。
赤岳鉱泉から行者小屋までは40分程度のバイパス道が存在するので、(多少歩く距離が増えますが)赤岳を目指す方には北沢を強くお勧めします♪
13:29 美濃戸山荘前の南沢&北沢分岐点に到着
結構疲れてきましたな。あと1時間・・・。
14:34 美濃戸口に到着
・・・
という事で南八ヶ岳の縦走記でした。
今までの登山の中で間違いなく最高の結果だったと思います。と、同時にまた来てみたいと思えるほどに好きになれました。
登山って本当に良いものです。うむ。
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