2018年8月10日金曜日

尾瀬・燧ヶ岳~至仏山(難易度:★★☆☆☆)

今回はバス泊+1泊2日で尾瀬にそびえ立つ2座の百名山を登りに行ってきました。
自分は尾瀬には行ったことがなかったのですが、人づてには「尾瀬って言っても尾瀬沼と尾瀬ヶ原に別れているから、一度に巡ろうとすると広すぎるしかなり歩かされるよ!」と聞き及んでいたので、結構厳しい道中になるのかな、と考えておりました。ですが、山歩きである程度は脚を作れていたこともあるのでしょう、尾瀬沼~燧ヶ岳~尾瀬ヶ原~至仏山を十分に楽しみながら歩き通すことが出来たのでした。

尾瀬ヶ原の中央に位置する竜宮小屋で一泊しつつの1日1座の行程

新宿のバスターミナルから夜の10時過ぎに出発し、スタート地点となる大清水バス停には朝の3:30に到着。暑くもなく、寒くもなく。手短に朝食を取りつつ準備。

3:40 確かに大清水バス停に到着しているらしい

これまでに乗った夜行バスもその多くは夜明け前に現地に到着するので、ヘッデンを付けてのスタートというのは特に珍しいことではありません。ですが最初は夜目が効かず、右も左も分かり辛い手探りでのスタートとなりました。


大清水登山口をスタートしてから少しずつ夜が明け、1時間ほど車道を歩くとヘッデンをはずせる状態になりました。

4:45 チェックポイントである一ノ瀬

今回は時間帯がアレだったので利用できませんでしたが、実は大清水からはシャトルバスが出ているらしい。一の瀬を過ぎるとちょっとした林道が続いていることもあり、歩き慣れていない人など、なるべく体力を温存したい方には有り難いのかも。

5:45 三平峠

この峠を越えるとようやく尾瀬沼にご対面となります。

6:00 三平下(尾瀬沼山荘)

山荘から朝食の良い香りが漂ってきたので朝食べかけていたパンの残りを食べつつ小休止。2時間ほど歩きましたが、外界とは異なり纏わりつくような湿度がないのでとても快適。先日訪れた上高地も良かったですが、こちらもなかなかのものです。

これから向かう燧ヶ岳の山頂にガス

予報では本日と翌日は降水確率が0%であったためまぁ大丈夫だろうと思いながら尾瀬沼周辺を歩く。


この季節は花のピークが過ぎた閑散期であるため、今回はこのくらいが限界。んー。


ですがこれはこれで絵になる感じで良いんですよね。人が少ないのも◎。いつもは登山道の鬱蒼とした樹林帯を歩くことが多いので、こういうご褒美もあって然るべきでありますよ。
そんな感じでボチボチ歩いてゆくと、山頂方面のガスが取れておりました。

7:00 長英新道入り口

ここから燧ヶ岳への登りが始まりますが、尾瀬沼近辺の風景は早くも見納めとなります。


道なりに山頂を目指すのですが、事前に収集していた情報よりも道の状態は良く、実に快適に歩けます。

40分ほど歩くと「1合目」の看板が。GPSで現在地を確認すると、入り口から山頂まで半分以上歩いているので「?」な感じだったのですが、それまで大して登らされなかったこともあり、以降はある程度の頑張りを要する道が続きます。

序盤は特に問題なし。

3合目後半からある程度の眺望が形成されてきます。


この辺りからと記憶しているのですが、残念な事にアブさん達による盛大なウェルカムパーティーが始まっちゃいました。
これ、地味に辛いんだよねw。何年か前に武甲山に登ったときにもやられたんだけど、アブさんの羽音による秀逸な挑発具合に一層の消耗が強いられるんです。
持参していたハッカ油スプレーもあまり効果ナシ。ちゃんとしたアブ避け対策しておくべきだった・・・。

9:15 樹林帯を抜けるとミノブチ岳

燧ヶ岳は5つピークがあり今回はその内の3つを踏む予定なのですが、こちらはその1つ目。朝方歩いてきた尾瀬沼と、2つ目のピークである俎嵓(まないたぐら)を捉えます。奥には日光方面の山々が。

この表示板、妙にコンプリート魂を擽ってきます。

9合目を越えるとアブさんのウェルカムパーティーもお開きと相成ります。いやー、今回のは特に熱烈なロックンロールでした。

9:50 俎嵓に到着

ここからは3つ目のピークである柴安嵓(しばやすぐら)に加え、尾瀬沼、尾瀬ヶ原が一望出来る360ビュー。尾瀬の全景を堪能することが出来ました。色々と消耗した分だけ有り難みがあります。


その後はお隣の柴安嵓に移動。

10:30 燧ヶ岳山頂(柴安嵓)

思わず「墓石か(笑)と突っ込んだ人は(自分の他にも)数知れず、と言ったところでしょう。燧ヶ岳の山頂には誠に菊の花が似合いそうな黒光った石がそそり立っていたのでした。なんとなく手を合わせて拝んでみましたが、特にご利益は無さそうです。

その後は昼食と昼寝を挟んで尾瀬ヶ原方面に見晴新道にて下山・・・、したのですがお世辞にも状態の良い道とは言えず、これまで歩いた道の中でも屈指の歩き難さでした。

9合目~6合目の嫌らしさは相当のもの

上の写真はまだマシな方で、一つ一つの処理に実に手間がかかる非常に荒れた道が続いており、正直湿原のハイキングついでに遊べるルートではない感じでした。それもその筈。この見晴新道、実は数年前に豪雨影響で一時期閉鎖されていたこともあるらしいです。
もっとこう、ゆるふわ感が欲しいよね(笑)

13:30 下山完了

ですがその分、尾瀬沼から続いている木道との合流地点が見えたときは嬉しかったですね。

13:40 尾瀬ヶ原の入り口となる見晴十字路

ここで暫しの大休止。その後宿泊先となる竜宮小屋に向かいます。

原色の世界

進行方向には明日の宿題(至仏山)、振り返ると素知らぬ顔で燧ヶ岳が鎮座。
ど真ん中を突き抜ける2本の木道を歩いていたら、アリゾナ砂漠をレンタカーで走ったときの懐かしい感覚が思い起こされました。アレも良いものだった・・・。

今回のルートはバリエーション豊かな景色が目に楽しい

14:30 竜宮小屋に到着からの一杯

酔いの回りが非常に早く頗る良い感じになってしまった。


平日ということもあり、大分広い部屋が貸切状態。布団一つを2人に充てることも珍しくない一般的な山小屋とは一線を画すぜ…。

そして翌朝・・・。

昨日以上に素晴らしい天気

いやぁ、本日のターゲットである至仏山山頂に至るまでの、この真っ直ぐな道が堪らない・・・のですが、少し寄り道をして行くこととします。

7:15 ヨッピ吊り橋

スルーしても良いスポットだったんですが、名前が気になってしようがないので心残りが無いように足を延ばしてきました。進行方向は橋を渡った先にはないので、まぁ・・・、引き返すんですけどね(笑)

この辺は花の季節には凄いんだろうねぇ

8:30 至仏山登山道

歩きやすいです。まさに想定していた湿原のハイキングとセットで歩ける山、といったところです。

登り始めは昨日のこともありどうなることかと思いましたが本日はウェルカムパーティーはございませんでした。


麓からの道が一直線ということもあり、直ぐに標高を稼ぐことが出来ます。

少々蛇紋岩っぽいところがありますが、難しいところは皆無。


燧ヶ岳とは異なり、明らかに道の保全に力が入っていることが分かります。このルートは登りのみの一方通行なのでスレ違いもなく歩きやすさが際立っていました。

11:10 至仏山山頂

今度は白い墓石ですか。南無南無。


非常に秀逸な風景を楽しむことが出来たので満足感がありましたが、尾瀬沼が見えないので眼下に尾瀬の全てを収めることは出来ません。やはり尾瀬の盟主は燧ヶ岳ということかね。

・・・そう言えば竜宮小屋で仕込んでもらったお弁当は何の変哲も無いオニギリ弁当だったのですが、付け合せのオカズがチーカマ、エイヒレ、新生姜という・・・、どう考えても晩酌のオツマミだったんですが、コレにはなんとも度し難い気分に(笑)

その後は写真左奥のゴール地点である鳩待峠を目指して歩いてゆきます。これもまた近いようで遠い。


やはり稜線歩きは気持ち良いものがあります。一日目にここを歩いて二日目に燧ヶ岳に登っていたらモチベーションが持たなかったかも。やはり鞭のあとに飴。逆は駄目です。うむ。


チェックポイントの小至仏山を経由しますが、登山道の何割かは木道が敷かれています。整備にかける東京電力の気合い(お金?)をヒシヒシと感じる。

13:20 鳩待峠

バスが13:40だったのですが、行程はオンスケであったとは言えペースがゆっくり過ぎたかもしれません。今後はもう少し余裕を持った計画を立てねばなるまい。

今回も無事下山することが出来たのでした。

・・・
というわけで尾瀬登山の記録でした。
季節的なものもあり”花の咲き乱れる尾瀬”というわけにはいきませんでしたが、青空と白い雲、緑というインパクトのある夏らしいカラーリングに包まれながらの登山&ハイキングは非常に素晴らしいものがありました。様々な季節でいろんな表情を見せてくれそうなこの尾瀬はガッツリ登りたい人にも、景色を楽しみつつ散策したい人にも対応可能なグッドなスポットと言えそうです。