2018年9月19日水曜日

南アルプス・甲斐駒ケ岳(難易度:★★★☆☆)

今回は甲府市から少し足を伸ばした先にある南アルプスの甲斐駒ケ岳に登ってきました。
もともと予定していた別のターゲットは誠に残念ながら秋雨前線の影響によって決行できなかったため、天候の回復が見込める他の山へのチャレンジとなりました。

ですが、スケジュールのタイミングも手伝ったのでしょう、南アルプスを代表する秀峰を冠されるだけあり、めちゃくちゃ格好いい山容を堪能することが出来たのでした。

北沢峠から双児山、駒津峰を経由し本山にアプローチ

いつものように東京からのアクセスとなるため、甲府駅付近で前泊し、明朝の4:30のバス(休日・祝日のみの便)にて広河原を経由して北沢峠に入ります。

甲府駅前から登山口まではバスで約3時間

このバスは昨年も鳳凰三山(夜叉神峠)に遊びに行った際に使用しましたが、今回も大きながま口を首から下げた切符売りのオバちゃん添乗員に誘われつつ山に入っていきます。

6:20 広河原

ここは北岳や鳳凰三山への登山口となりますが、非常に綺麗なビジターセンターが建てられていました。おそらくここはこの先数回お世話になる場所かと思います。
そして甲斐駒ケ岳の登山口である北沢峠はここから数十分程度バスを乗り継いだ先になります。

7:15 北沢峠

北沢峠近辺には複数の小屋に加え、キャンプ場などもあり、甲斐駒ケ岳に加え、仙丈ヶ岳にアクセスするためのベースとなるポイントです。
9月中旬ではありましたが、既に結構な高度であったため冷えました。自分はダウンジャケットを持参していましたが、半袖Tシャツで凍えてる人が結構多かったです。10度を下回っていますから準備が肝要。

7:30 登山届を提出した後に出発

北沢峠から甲斐駒ケ岳にアクセスする際のルートは大きく分けて2つあります。
  1. 北沢峠~双児山~駒津峰~甲斐駒ケ岳
  2. 北沢峠~仙水峠~駒津峰~甲斐駒ケ岳
今回は1のルートで登り、2のルートで下山します。序盤は樹林帯を黙々と上げていきますが、よく使われているルートと言うだけあり道が明瞭でとても登りやすい道が続いていました。

9:00 双児山

ひと登りすると稜線上の双児山に到着。ここで軽い朝食(2回目)をとりつつガスってる周囲に目を凝らします。この日の天気予報は降水確率が数日前から午前午後共に0%であったことから雨の心配は特に無く、その後の行程に関する心配は然程ありませんでした。それどころかダイナミックに晴れてゆく眺望への期待が沸々と湧いてきておりました。安全マージンのために悲観的に物事を考えがちな自分にしてはレアな心境だったと思います。


双児山から駒津峰まではガスられてしまいましたが、晴れていたら結構素晴らしいものが見れたのではないかと思われます。

9:50 駒津峰

フォロー出来ないくらい地味な写真だなコリャ(笑)
暫くの間端っこの方で「青空まだかのぅ…」とか言いながらゼリー飲料をちゅーちゅーしておりましたよ。


一瞬キレットっぽく見えたので怯みましたが、全然普通に歩ける道でした。山道ってこういうの本当に多いよね。まぁ怖さが楽しさをスポイルするような道は避けたいところではありますから良いんですけど…。

そんな事を考えつつふと右手を見ると・・・

ガスの切れ目から一瞬ですが鳳凰三山のオベリスクが見えました!

そして物凄い突風が数秒間吹き付けたあと、嘘のような無風、無音状態。
前方を見ると覆っていた分厚く真っ白いガスのヴェールがみるみる払われて行きます。

甲斐駒ケ岳の勇姿

そのドラマチックな展開にその場に居合わせた登山者から「おぉ~!!」という歓声が上がりました。これには自分も結構アツくなりました。口をポカーンとさせるオジちゃんや、山ガールの「ヤッホー!」がとても印象的。

これだから山はやめられない。

皆、ニヤニヤしながら歩いています!まぁここ数日雨だった背景を踏まえての”大当たり”ですから、こうなりますわな。

巻道ルートと直登ルートの分岐

山頂直下にはテクニックのいる直登ルートと、若干時間はかかりますが普通に歩いていける巻道ルートの分岐があります。結論から言うと(少し悩みましたが)自分は往復ともに巻道ルートを選択。

ルートが一瞬で見極められなかった事や、これまでのルート上に(不要っちゃ不要なんですが)他の山ならありそうな場所に鎖や梯子がなかった事、自分の目の前に先行者がおらずトレースも不可である事を踏まえて直登ルートは見送りました。なんかね・・・ペンキが見難いんですよ。黄色か白を使って欲しいなぁ。

花崗岩の砂場地帯

鳳凰三山と同様、あの鬱蒼とした樹林帯や、ゴリゴリの岩場の先に砂浜の様な白い世界が広がっており、変化が目に楽しいです。

山頂を視界に捉えました

ここの砂場は最後の頑張りどころなんですが、槍ヶ岳山荘前と同様に少しバテ気味だったのでゆっくり進みました。

11:40 甲斐駒ケ岳山頂

奥には八ヶ岳連峰も望めました

欲を言えばもう少しガスを払いたい感じだったので暫く粘りましたが、これ以上は望めなさそうであったため、昼食後に下山開始。
(今回はタイムスケジュールの都合上、見所の一つであった摩利支天はスルー)


六方石

なお、駒津峰から仙水峠に下る際の1時間少々がなかなかシンドかったです。登りに使われる方はそこそこ頑張りが求められますので覚悟されたし。今回自分が使用した双児山経由のほうが登りは恐らく簡単かと思われます。

その後もボチボチ歩き、北沢峠にはオンスケよりちょっとだけ早く到着。


このあと甲府まで3時間のバス、更に新宿まで3時間。往路を考慮するとこの日は10時間近くバスに乗ったことになる…。足も痛いが尻も痛いわけだ。

・・・
というわけで甲斐駒ケ岳登山記でした。
今回は当日、翌日が晴れ予報となっていましたが、秋雨前線の影響で天気がフラフラしており、黒戸尾根経由でのチャレンジや、プラスアルファでの仙丈ヶ岳登山といった2日行程の選択肢を取ることが出来ず、本命の代替プランとしては色々とギリギリでした。行けただけでも感謝しなければならないかもしれません。
今年はシーズンアウトとなることを踏まえて3000m峰にはまた来年チャレンジしたいと思います。

去年は8月が駄目で9月が当たりだったのですが、今年は逆でしたね。5月にチャレンジしたマレーシアのキナバル登山でもつくづく感じましたが、プランの規模が大きいほど駄目だったときのダメージが大きいので事前タイミングでのプラン確立の難しさを感じます。自分はソロで登っていますが、人を伴う場合なら尚更でしょう。

2018年8月27日月曜日

丹沢・鍋割山〜塔ノ岳(難易度:★★☆☆☆)

来月中旬から後半に向けて計画している件に向けて、今こそ初心に帰るべきである・・・。そんなことを考えていたのですが、立ち返る"初心"というのが悲しいかな、費用面でのお話だったりするんですよね。
今年の登山は海外や遠出が中心、且つ装備の刷新が重なったために妙に出費が嵩んでおりました。
そもそも自分が登山を始めた当初に感じていた旨味は「費用がかからず、その日1日を充実感と満足感で満たされた状態(精神的に参らない)で休日を処理することができる」という優れたコストパフォーマンスにあったはずでした。ですが気がつけば1回の山行で2万から3万が当たり前に必要となっているわけですよ。(それが一ヶ月に2,3回,,,)
ある意味自身のお金と時間を自分なりに納得いく形に記憶に変えてゆく一つの道が見つかったのですから、非常に喜ばしいことではあるんですけどね。

今回は大倉から鍋割山を経由して塔ノ岳を目指します。

自分にとってのホームグラウンドというとやはり丹沢です。何故って新宿から電車バスで登山口まで片道1000円を要しない非常にコストパフォーマンスの良いエリアであるからです。
(人が多すぎるのはネックですが・・・)
一時的にではありますが熱暑が収まって低山歩きも可能かな、と言うことで、折角なので以前から歩いてみたかった大倉尾根の西側のルートを歩いて山頂で名物の鍋焼きうどんを食そうではないか・・・。そう思い立ったのでした。

8:10 渋沢駅

これまでは塔ノ岳に遊びに行く際は秦野駅が出発地点で渋沢駅が終着地点でしたが、今回は出発、終着地点共に渋沢駅が起点となります。

8:35 大倉バス停

大倉バス停から丹沢山を目指す場合は、(いつもの大倉尾根の道とは異なり)バス停の向かいにあるラーメン屋の横の道を進みます。いきなり道が分岐していますので道に既視感はなく新鮮な気持ちで歩けます。


林道に入るまでは看板に従って歩いて行くだけなのですが、道がグラベルになってまず一発目に不安になるのがこの道を塞ぐように設置されているこのネットでしょう。予備知識がないと「地図通りに歩いてるのに何故?」となってしまいますが、実はただの鹿除け(効果があるのかは謎)のために設置されているだけであるため、人は通行可能。手動で開閉が可能です。


ここを越えると車の通れる西山林道を5、6キロほど歩きます。道中は高低差がほとんどないので余裕があるのですが、(あの大倉尾根の対になっている道であるので)後でシゴキのように登らされるのではないか・・・とビクビク進みます。


途中で見かけた尾関広之の像の側で、近所のベーカリーで買ったパンの残りを食しつつ一服。山行の日は朝食がとても早いので、(自分流としては)こういうタイミングで1食追加になる感じなのです。炭水化物を少量ずつ頻度を多く取るのはとーっても重要なのですよ?

9:55 二俣

途中、こんな感じの渡橋を通ります。ここを歩くと良い感じに撓むので渡り終えた後の硬い地面でも妙に撓んだ感覚が残ってしまいます。ボヨンボヨン・・・。

10:16 実質的な鍋割山登山口

ここでは鍋割山の山小屋まで「ボランティア」で水の入ったペットボトルを運ぶことが可能です。「体力に余裕があれば是非とも!」ということですが、自分は余計な荷物と蛮勇が嫌いなので余裕があるかないかは終わってみないと主観的にも客観的にも判断出来ないだろう、と考えてそのまま道に入って行きます。
(最近ではお隣の丹沢エリア・大山でも同じことをやってるっぽいですので、歩荷さんに魅力を感じられている方がいらしたら是非とも両山併せてチャレンジされては如何でしょうか?)

10:41 後沢乗越

とても綺麗に整備され、登りやすい道を上げて行きます。個人的には人の多い大倉尾根を歩くより、人の数が少なめで静かな歩きが可能なこちらの道の方に魅力を感じます。


お馴染みの木道を歩いてると丹沢を歩いている感が沸々と湧き上がってきますね。
そして登って行くと道の先に何やら人工物が・・・と思ったら。

11:40 鍋割山山頂

今日はなんと富士山が拝めました。

山頂はとても広くて休憩スペース、昼寝スペースが実に豊富です。
さて、ここに来たからには・・・

秦野、渋沢、小田原の市街地を眺めつつ鍋焼きうどんを食すのであります。

天ぷらのかぼちゃ、及びつつくと蕩ける卵がイカしてます。いつもはお手伝いさんがいるらしいですが、一人で切り盛りしている小屋のおっちゃんがテンパりながら頑張っているのを感謝しつつ美味しく頂くことが出来たのでした。

12:30 昼寝の後は計画通りに塔ノ岳まで足を延ばしてみることに。


途中、蛭ヶ岳〜丹沢山の稜線がくっきり見えるポイントに出ます。何年か前に檜洞丸から歩いて11時間以上を要したあのアツい1日を思い出しました。あそこの稜線道は本当に美しかった。いつかまた歩きたいものです。
加えて今回の帰り道である大倉尾根が綺麗に見えます。今になってこうして遠目で見ると非常に穏やかで綺麗な稜線でありますよ。


小丸、大丸、金冷やし(大倉尾根との合流地点)というチェックポイントを通り過ぎます。



13:30 塔ノ岳山頂(今日は熱暑が収まっているのでなんと27度!歩きやすい!)

ここに来るのはもう何度目だろう。いつ来ても目にすることができなかったご神体を今回ようやく拝むことができたのでした。ここからの富士山はこんな感じだったのね。綺麗なものです。

富士山には高地を目指す際にトレーニングとしてもう一度訪れたいものです。


今回の山行では自分的に丹沢山行のスキマとなっていた部分にピースを埋めることが出来た感じです。

意外と人が多くなかった大倉尾根

後は黙々と大倉尾根を下ります。
初めて歩いた際には非常に時間を要してキツいなぁと思ったものですが、今回は天候の条件、体調の条件も良かったことが手伝って、2時間弱で下れたのでした。

15:45 下山完了

自分は大倉尾根の下山口からバス停に向かって少し歩いたところにあるこのポイントが好きなんですよね。畑や民家の立ち並ぶただの道なのですが、どこからともなく漂ってくるたき火の匂いに癒されるのです。

16:10 渋沢駅

登山後の一杯は酔いの回りが綺麗でいやはや堪らぬ。

・・・
というわけで1年ぶりの丹沢でした。やはりこのコストパフォーマンスの良さと歩きやすさは素晴らしいものがあります。
丹沢だけではなく、山梨方面にも青春18切符を上手く使えれば費用を抑えて行動範囲を広げられるのですが、期間内に5回分使い切る自信がなく、かつチケット屋でバラ買いすると逆に高くついたりでどうにも上手くいかないんですよね。
充実した山行の経験を積み上げるためにももう少し色々と工夫して行きたいな、と思うのでした。