2019年9月22日日曜日

北アルプス・蝶ヶ岳(難易度:★★★☆☆)

先日の夏休みは北アルプスの蝶ヶ岳に遊びに行ってきました。
前回の剱岳にて岩登りを十分堪能出来ていたので、今回は少し優しい感じの1座をテントを担いでじっくりゆっくり登ってみたいと考えた次第です。
また、5月に本栖湖畔から登った竜ヶ岳で見た富士山の立派な山容に「山に登って山を見る」というプランが思いの外楽しいということに気付いたこともあり、今回は穂高連峰を綺麗に俯瞰出来るという蝶ヶ岳に登ってみることにしたのでした。

上高地BTから蝶ヶ岳へのルート

蝶ヶ岳へ至るルートは幾つかあるようなのですが、去年の槍ヶ岳と同様、帰りに温泉にも入れる上高地からのアクセスを使用。

5:20 新宿から上高地へバス移動

明朝、明けきらない上高地に到着した際は残念ながらの雨のち曇り。ですが、レインウェアの装備で十分に歩けるようでしたので、登山届を提出したあとは予定通り徳澤方面に歩き始めます。

6:40 明神

上高地に限らないのでしょうが、山岳地帯は天候や時刻で本当に色々な表情を見せてくれて面白いですよね。あのキラキラとした陽の光と沢山の観光客で溢れかえっていた場所と同じとは思えない程です(笑)

7:30 徳澤から登山道に入っていきます

所々で大分雨に降られてしまったのですが、翌日の予報が快晴という後ろ盾もありそのまま歩き続けます。蝶ヶ岳への道は事前に聞いていた通り、槍・穂に向かう人の数と比較すると大幅に少なく静かな登りを楽しむことが可能です。


登山道はとてもよく整備されており、僅かな段差でもこのような特徴的な梯子が20程度組まれているため、行程の中では張り付いて上げて行くシーンが皆無でした。鎖や岩場といった難しいポイントも特にないので登りに集中出来ます。


雨の山中にて我慢の登りを続けていると念願の青空が。樹林の霧の中を音もなく真っ直ぐな太陽光が差し降りてくるシーンには流れの変化、と言いますか、体中にエネルギーが漲ってくるような不思議な感覚を覚えました。太陽の力はやはり偉大。

11:36 チェックポイントの長塀山

この長塀山はマップ上ではルートのおよそ2/3に位置していますが、実際は登りの殆どを終えているため、あとは山頂まで緩やかな道程となります。

12:30 山頂直下

道中で休憩していると山頂から下山してくる一組の欧米風の背の高い男女の海外登山者が。満面の笑顔で

“ten minutes !”

と励ましてもらっちゃいました。とても嬉しかったので慣れない英語で

“Thank you ! have a good journey !”

こんな感じで返す。すると手を振ってくれた。
それにしても海外登山者ってなんであんなに格好良いんだろう…。というか纏っているオーラが違うな~って感じることが多いです。海外から来て2000m~3000m級の山をノーガイドで歩くのだから、そのバイタリティにはあやかりたいものがありますよ。

12:40 蝶ヶ岳山頂

テント装備(というか水&食糧)の詰まったザックの重さでヘロヘロになりながらようやく到着!道中大分休憩を入れたのですが、それでもまぁ、ほぼコースタイム通りだったので上々かな。


山頂直下には蝶ヶ岳ヒュッテ。ここでテント泊の手続きを済ませちゃいます。


その後は特にやることも無いので昼食をとったりブロッケンで遊んだり昼寝したりしてました。

午後は大体晴れてくれていました


常念岳方面にも歩いて行ける素晴らしい稜線が続いていますが、水が致命的に足りない(1.5リットル弱)ことと、余計な荷物で今の自分にはリスクがあると判断したため今回は見送る事としました。

そして翌日・・・

360度雲海

目覚め前の幽玄なオーラを纏う穂高連峰の雄姿

5:33 有難いことにご来光も手を合わせて拝むことが出来ました

やはりこれを見ると上界に来たなーって感じになりますよね。
うむ。良いものです。

・・・
その後は朝食を取り、テントを撤収してから(常念、燕方面に向かいたい気持ちをグッと堪えて)下山に取り掛かります。

8:57 下山完了

下りは水や食料をほぼ消費しているため実に身体が軽快。荷物量が半分になって快晴という条件であればそうなるわな。

11:00 散策路を歩いて小梨の湯に到着

小梨の湯は上高地近辺のキャンプ場に隣接しています。この日は11:30から営業開始ということで大分ゆっくり歩いたのですが、30分ほど早く到着してしまいました。

流れ、というやつです

この日は本当に良い天気でスケジュールを1日後ろ倒しにするべきでありました

・・・
今回の山行においては、従来のザックが40リットルであったのに対し、80リットルの20kg前後の重さとなると現在の体力ではいつものパフォーマンスのまま長時間(5~6h以上)登り続けることが少々厳しいということを身体で知った感じです。加えてパッキングにおいての改善すべき点も大いにあったので今後の山歩きに生かせれば、と思ったのでした。

帰りのバスの車窓にて短い夏山シーズンの終わりを感じた

2019年8月17日土曜日

北アルプス(立山連峰)・別山~真砂岳~大汝山~雄山(難易度:★☆☆☆☆)

~DAY3~
前日は剱岳に無事登頂することが出来たためそれで終わりにしても良かったのですが、せっかくですので引き続き立山の稜線を堪能しつつゴール地点である室堂に向かう事としました。コースとしては一端往路で通過した剣御前小屋を経由し、別山~真砂岳~大汝山~雄山のなだらかで歩きやすいルートを縦走するというものです。


やはり僅か数時間程度ののんびりしたトレッキングにて、(室堂に到着した際に見上げた)あの美しい稜線上の4座を踏めるというのはとても魅力的だなぁ、と思った次第であります。

4:00 剱澤小屋を出発

本日3日目のクライムオンとなりますが、やはり晴れてくれています!本当に有難い。
6月と7月のあの悪夢のような断続的な雨天候からは考えられない”3日連続の晴天”には流石に頬が緩むというものです。

5:00 剣御前

剱澤からはそのまま別山山頂に向かうルートもありましたが、急ぐ理由も特になかったため剣御前を経由しました。

5:40 別山

このルートのポイントとしては前日の剱とは異なり、ターゲットの攻略ではなく、道中の綺麗な景色等に如何に感動出来るか?という点にフォーカスされると思います。

後立山南方と雄山方面を望む

氷河による浸食、及び隆起によって築かれたこの稜線の美しさには流石に舌を巻きます。個人的には同様に感動した白馬岳を思い出しますね。

6:45 真砂岳と見納めになるであろう剱岳の先端

然程ピーク感はなく、チェックポイントと言って良いかと思います。早朝時間帯ということもあり、登山者の数は控えめで快適なトレッキングが続きます。

7:30 富士の折立

富士の折立の穂先にも登ることは出来るようでしたが、今回は歩きの快適さを求めていたこともありパスしました。歩かれる方はご用心を…。

7:50 大汝山

ここが立山の最高峰地点となります。岩場の山頂には8時前であるにも関わらず、既に登山者集団で賑わっていました。雄山方面から登ってきた方々かな?関東山々の様にソロで登られている方は比較的少ない様な印象を受けました。

南方の雲海から零れ落ちる雲の滝、その奥には・・・

小さくではありましたが、富士山及び槍ヶ岳を視認。山座同定は得意ではありませんが、あの特徴的なシルエットによって一目瞭然でありますよ。天気の良い日の特権。
近くにいた人の話では南アルプスの北岳や甲斐駒ヶ岳、北アルプスの黒部五郎なども見えていたらしいのですが、残念ながら勉強不足により自分には良く判らず…。

8:30 雄山

大汝山の目と鼻の先には雄山。ピークにはお祓いをしてくれるというお宮さんや売店も完備。お宮さんの方は大分行列が出来ていたようで、神主さんが列整理とお祓いに勤しんでいました。

そう言えば一つだけ心残りだった点がありました。それは「野生の雷鳥」を愛でること。
これが叶えば言う事なしなんだけどな~、と沢の方をぼんやり眺めていると…

岩の上に雷鳥

おおっ、真ん中よりちょっと右側の岩場の上にて雪渓を背後に雷鳥(と思われる)の小さなシルエット!
なんか、思わず手を合わせて拝んでしまいましたね(笑)

さて、そんなこんなで今回の山行も室堂への下りを残すのみとなりました。

9:15 一の越

下山路の中間地点にあった一の越山荘を経由して・・・

11:00 室堂・みくりが池温泉

ようやくゴール地点に到着。改めて歩いてきた稜線をぐるりと見渡すと、大分長い距離を歩いてきたことが判ります。午前中のトレッキングとしては素晴らしい景色が満載で、時間の経過が驚くほどあっという間でした。

温泉に入った後は缶酎ハイにてまたもや小さな悲鳴を上げつつ、薄っすらと天国の様な酔いをまとってバスターミナルに戻って行ったのでした。

その後はお土産を物色しつつ、もう一つの目的地であった麓の黒部ダムを目指します。

立山黒部アルペンルートの扇沢方面

トロリーバスやロープウェイ、ケーブルカー等を色々乗り継ぐのですが、これまた観光客の数が物凄かったです。トロリーバスは昨年旧型の車体が引退したとのことで新しいものに入れ替わっていたのですが、パンタグラフが付いている以外は普通のバスとあまり変わったところがありませんでしたね…。

12:40 黒部ダムの観光放水と虹

黒部ダムも一度は訪れてみたかった観光スポット。現地に足を運ぶと、幸運にもダムから放水され綺麗な虹を楽しむことが出来る時間帯でした。こんな極地にここまで大きな建造物を戦後間もない昭和時代に組み上げたという点、そりゃ語り継がれる土木界の伝説にもなりますわな。

13:50 扇沢

扇沢駅で傍らにいたおばあちゃんに「何処に登ってきたの?」と問われたので「剱岳です」と答えた所、「あらまぁ。私も若いころは白馬岳や八ヶ岳に登ったのよ…」とのこと。登り終わった後に体いっぱいに溢れる幸福感、自信と充実感は万人共通の一生モノの記憶なのかもしれない。

この後はバスを乗り継いで信濃大町駅を経由しつつ長野駅に。
本当は信濃大町駅から大糸線で東京に向かおうと思ったのですが、新宿方面へ向かうあずさ号が一日一本程度しか無く、スケジュールに乗らなかったため長野駅までバス移動してから新幹線で帰ることにした次第。まぁ今回は良く頑張ったし特別のご褒美でありますよ。それにしても下界はトレッキング中より遥かに暑いのですがこれ如何に…。

16:30 長野駅

・・・
という訳で剱岳~立山の縦走登山記でした。
実は昨年もこのルートを歩こうとプランを練っていたのですが、秋雨によって甲斐駒ヶ岳に化けてしまった(これはこれで最高だった)こともあり、出発する前までは天気がどうなることか予断を許さなかったのですが、結果としてはめったにない最高の山旅になったと思います。欲しかった剱Tも買えたし満足度高し。

お土産の剱T

次はどこに行きましょうか。