2018年5月9日水曜日

マレーシア:ボルネオ島・キナバル山(難易度:★★★★☆)

今年は早くも4座目になりますが、今回は海外です。
富士山より少しだけ高い標高であるマレーシアのキナバル山を攻略してみました。
このキナバルはマレーシア・ボルネオ島の最高峰となる4000メートル級の標高を有する東南アジア有数の山です。ですが、山頂までの道中には通行の障害となるようなボトルネックポイントは存在せず、ただ求められるのは山頂まで辿り着く「体力」、及び天候に関する「運」となります。

・・・

出発当日、現地の天候に関する事前情報を確認すると、なんと全日程で「晴れのち雷」という日本ではあまり聞かない謎予報を目にしました。(登山本番当日によりによって「雷」って何なんですかねー。)

今回は駄目かもしれない・・・という少し見通しの暗い思いで日本を発ったのでした。

成田からコタキナバルへ飛行機で移動

やはり閉所に長時間拘束される飛行機は好きになれません。四肢が軽く固定された状態で食する機内食は結構シンドイものが。ですが鍛えられた日本人。ギュウ詰めされた状態であっても目的地に近づいてはいて、「サービスです♪」と言われたのなら「サービスですね♪」と受け堪えられる程度の根性は備えております。

現地のコタキナバルには夕刻に到着しました。

降る気満々の空模様

予報通り夕食ついでに町中をプラプラ歩いていたら遠方にヤバそうな雲を確認。


海の向こうで雨が降ってるなぁ、と眺めていたら数十分で大雨となってしまい出先のショッピングモールにて行動不能に。

「もう完全に積んだわ、今回の登山旅行。兄上まで巻き込んだ上に沢山のコストを支払って何やってんのかなー・・・」

両手で顔を覆ってそう思いましたね。こんな時はどうするべきだろう。
数分考えた後に出た結論は・・・飲むしか、ない!

タイガー(1回目)

ところが・・・

朝、雨が降っておらず当たり前のように登山口に向けて出発

雨は特に降っておらず、自分の目からは悲観的に見ても晴れのち曇り。これなら行ける!
道中100%雨の認識だった自分には嬉しい誤算。

登山口までの途中でナバル村という休憩スポットに立ち寄る

ここからターゲットの全景を確認することが出来たのですが、謳われるマレーシアの最高峰はなかなかの雄姿でした。

公園本部

ここで登山届を提出します。

登山証を受け取った後、登山口のTimpohonGateまでの数キロをワゴンに乗って移動。

現地についたので早速ゲートを潜ってスタートかな?と思ったらガイドから「この先にあった橋が落石で破壊されてしまっているため先に通れません」とのこと。

迂回路として脇の下り道を一旦降り、沢を超えた後に登り返すことでリカバーするとのこと。影響は1時間弱のプラス。

最先の悪さを感じつつスタート!


中腹の宿(LabanRata Resthouse)まで荷物を上げてくれる歩荷(ポーター)さん。1つ10キロ上限の荷物をかなりの数背負いこみ、この状態で一人あたり片道1500円弱の支払いで2000メートル上の宿まで持って行ってくれるのです。有り難いことです。

ジャングルの山道で渋滞を作りつつ靴についた粘土に難儀

沢を越えた後に迂回路が終わり、想定されていたルートに乗ったら後は順調そのものでした。
「雨が降るだろうな・・・」
と期待値を低くして身構えていたのですが、逆に日が射してきました。

「シェルター」と言われるチェックポイント(休憩所)が凡そ30分毎に設置されています。

行動食を適宜取りつつ先を目指します。


道は基本的に一本道であり、実に綺麗に整えられています。ルートロスのリスクはほぼ0と言って良いと思います。

暫く登ると正面に御神体が現れ、背面には雲海が見え始めます。

相変わらず天気はとても良く、昨日までの絶望的な気分が払拭されて行くのが判ります。

道中には日本ではあまり見られないであろう東南アジア特有の植物が点在していました

雨どころか少しもガスりません。期待値が低かった分、感謝の気持ち一杯で進みます。


歩けば歩くほど天気が良くなり、気持ちの良いトレッキングが続きます・・・と思っていたら・・・

麓からものすごい勢いで雲が追っかけてくるじゃないですか・・・これは。これはいけない。

急いで本日の目的地である宿に駆け込みます。

宿に駆け込むやいなや物凄いスコールが始まりました。ここまで登れば雲の上に出てるしそうそう雨は降らないんじゃないかなぁ、とか思っていたのですが甘かったです。
取り敢えず歩いている間は降られなかったので自分は良かったですが、後から歩いてきていた人たちは随分と難儀していたようです。

宿に駆け込んだ直後に、岩しかないはずの山頂から突如として滝が発生…

そんなことより同行したパーティの皆さんと乾杯や!

タイガー(2回目)

小屋内の壁には写真が飾られていました。場所が場所だけに色々とある…らしい。

翌日は2:30から登り始めるのですがこの豪雨。今度こそ駄目かと思いつつ仮眠をとったのですが、目を覚ますと…

晴れています!

情報では0度付近まで下がると聞いていた気温も(息が少し白くなるくらいで)然程下がっていません。風も殆ど無い状態。なんという引きの強さだろう。

ヘッデンの明かりを手がかりに登り始めます。目的地の山頂まで800メートル程度上げることとなります。

サヤサヤハットという山頂に至る前の最後のチェックポイント

もし天候が悪く危険と判断された場合はここのゲートが閉じてしまい下山を促されてしまうとのことでしたが、今回は昨夕の雨にも関わらず特に問題なく進むことが出来ました。

この先には岩場地帯が続いており、場所によっては3点支持で進む必要がある場所がところどころ出てきます。更に夜間で周りの状況が見えづらいことや、空気が少々薄いこともあり消耗が早い感じ。道自体は少しも難しくないんですが。

山頂まであと100メートルちょっと。もう少し・・・!

この道標が見えたらあとは緩やかな斜度の岩場をボチボチ歩くだけでした。

すると、地平線の彼方からの光と共に山体のシルエットが顕現してきます。

山頂を視界に捉えます。

もし富士山のように登山者を無尽蔵に受け入れた場合、ココは人で溢れかえったかもしれませんが、宿のベッド数以上は山道に入れないこともあり、どことなくプレミアム感が漂っております。

肩から茜が射してきます。条件が良くないと見れないとされていた”影キナバル”もくっきり。

残り僅かな岩場を夢中になって這い上がります。

06:30 ローズ・ピークに登頂完了。そこからのライジング・サン。


これまで頑張った事を思い出さずには居られず、胸がカッと熱くなったのを覚えています。

一旦足場の小さなピークから降りた後…

見渡すと周りに競合する山が無く、360度ビューを望むことが出来、地平線が青く、少し丸く見えました。写真では伝わらないかもしれません。

「信じられる?自分の足だけでここまでこれたなんて。なんてきれいな景色。今度はどこへ行こう。どこまで行こう。私はどこまで行くことができるだろう。」

・・・


その後は粛々と下山することとなるのですが、登っている際には全く気づけなかった登山道。まるで雲海に伸びる滑走路の様。


日が射すと夜間に歩いた道が顕になったのですが、中々の階段場。シンドイ筈ですね。


9:00 一旦宿に戻り朝食を取ります…。そんなことよりスプライトの旨さに魂が震えます!

もう、動き始めてから6時間以上が経過しており、パーティの人たちもぐったりしています。普通なら一山登って降りるくらいの活動時間に相当しますが、ここから2000メートル以上下げるんだぜ?

・・・

ここからはただひたすら無心で下げていったのを覚えています。
最後の方になると数人がハンガーノックになる位のシゴキ具合でしたが、全員無事に下山することが出来ました。

1日で13時間以上の歩きによりさすがに腿筋がキツい

登山口に戻ると図ったようにスコールが始まりました。毎日毎日よく降りやがります。

暴風雨が凄すぎてて意味が解らないレベル…。

夜はパーティの皆さんと宴!これはもう、飲むしかないね!

その後、ホテルに戻りベッドに戻ると1分経たずに寝ることが出来ました。
これもまた非日常、最高な事なのです。。。

・・・
翌日、飛行機が飛ぶまでコタキナバルの街をうろうろしました。

Sunday Market沿いのお店にて豚の薬膳料理を食す。見た目はアレだが旨し。

タイガー・アッパーカッ!(3回目)

・・・

という訳でゴールデンウィークでのキナバル登山記録でした。
今年目標としていたことの一つが達成出来たので満足です。


キナバル山の語源はアキ・ナバル(祖先の霊る山)が訛ったものらしいです。
自分は形だけになってしまうお墓参りはあまり好きではないのですが、山好きであった父に対し、今の自分を見てもらうための表現の一つとして今回の登山を企画しました。
それ故に兄上を巻き込んでみたのですが、大分キツイ思いをさせてしまったのは申し訳なかったかな。

でも、マレーシア入りするまでの天気に関するあの絶望感からは考えられないくらいの登果が得られたのではないか、と思うのですよ。

本格登山シーズンはまだ始まってすらいません。

今年は何処に登ろうか?

2018年4月30日月曜日

箱根・金時山~明神ヶ岳~明星ヶ岳~塔ノ峰(難易度:★★☆☆☆)

今回のターゲットは箱根の外輪山縦走

箱根って遠いイメージだけど、実はそれ程でもない。
…にも関わらずこれまで登山用途で歩いたことがなかったんですよね。

丹沢のように小田急線を使いつつ登山口にアクセスしようとすると乗り継ぎの手間と時間が膨らんでしまうのですが、実は新宿から登山口の目の前に連れて行ってくれる直行バスが出ている…という情報を掴んでしまいまして。
こうなったら歩いて見るしか無いですよね。折角のゴールデンウィークの初日且つ晴天ですし。

6:30 新宿バスタ

朝早いしゴールデンウィークの初日であっても東名道の渋滞に巻き込まれる前になんとか抜けられるのではないか・・・という見込み通り、(30分ほど遅延しましたが)何とか現地に到着することが出来ました。

9:40 金時神社入口BS

やはり登山口まで連れて行ってくれるバスって素敵過ぎる!非常にスマートです。

スタート地点である金時神社

ここで本日の登山の無事を祈ります。


箱根というバリューがあるからでしょうか、50%位が海外の旅行者さんでした。自分のようなガチの登山スタイルではなく、20リットル前後のザックとペットボトルを片手にシャツ一枚で登る人が多かったです。
そんな背景もあるからでしょう、山頂までは1時間強ですが、登山道が随分と綺麗に整っていました。

金時山は「マサカリ担いだ金太郎」でお馴染みの日本昔話の縁の地ということで、ぶっちゃけ外国人が惹きつけられるような派手な観光地でもなかろう、と解せない感じだったのですが、山頂について納得しました。

11:00 金時山山頂

富士山が非常に綺麗に見えるんですよね。ピストンなら往復2時間程度ですし、人気なのも納得です。こればかりは現地に行かないと理解してもらえないかもしれませんが、かなりダイナミックな眺望を味わえます。前に歩いた大菩薩嶺を彷彿とさせるものがありますね。

自分は1週間後にアレより高い山に登るのか・・・と暫し遠い目

少し早かったですが観光客に慣れた猫を愛でつつカレーメシをグルグル回す

その後は外輪山の稜線を辿りつつ、2つ目のピークである明神ヶ岳を目指します。

金時山から明神ヶ岳への道は見通しの良い稜線を楽しめます

振り返ると富士山と金時山の2ショット。真ん中のモッコリしてるのが金時山。
歩いてきた外輪山の稜線もクッキリ。

終始こんな感じで大したアップダウンもなく、トレランをされている方も多かったです。

13:50 明神ヶ岳

このピークは360ビューが楽しめるにもかかわらず人が少なめでした。
小休止後に3つ目のピークである明星ヶ岳を目指します。

明星ヶ岳に向かう道中に大涌谷方面から硫黄臭が少しだけ漂ってきてここが箱根であることを思い出す

15:00 明星ヶ岳

道中ふと目を右に向けると何やら看板が。
ってここが山頂?眺望もあまり良くなく、自分の中では謎のピークとして印象付けられました。ここは山頂道標より縦走者向けに休憩スペースでも拵えたほうが良かったんじゃないかなー的な事を思いつつ次に進みます。

更に1時間ほど進むと・・・。

16:00 塔ノ峰方面の道にて一旦アスファルト林道

奥武蔵で武川岳から伊豆ヶ岳に進んだ際にも同じシーンがあったことを思い出しました。
道なりに1キロほど進むと登山道に入ります。

16:10 大詰めです!

アスファルト道から塔ノ峰までの道は殆ど登りはありませんでした。

16:30 塔ノ峰山頂

距離はあまり無かったのですが、塔ノ峰から阿弥陀寺までの道が少々不鮮明だったので注意して進みました。

17:00 窖から出てきたような印象を与えてくれる阿弥陀寺

ここまで来ると再びアスファルト道に出るのですが、汗だくでハァハァ言ってる自分とは対象的に着飾った観光客が沢山おりました。本日のゴール地点である箱根湯本は目の鼻の先のようです。

17:30 箱根湯本駅

金時山ではあれほど沢山いた登山者も、箱根湯本駅まで縦走する人はあまり居ないようで、途中でトレランの人に追い抜かれた以外は自分ひとりぼっちでした。確かに明星ヶ岳から箱根湯本駅までの道は見どころが殆ど無いのでコースとしては美味しくない感じもするのですが、歩き通すと充実感でいっぱいになれますよ!
丹沢の主脈縦走よりも遥かに簡単なので、ガッツリ歩きたいときにはお勧めかもしれません。

久しぶりのロマンスカーで一杯やりつつ新宿へ

・・・
いつもは登山鉄道を使って大涌谷方面に向かうだけでしたが、今回は足を使っての箱根登山でした。登りで体力を大きく削られることがないので眺望の良い道を存分に楽しむことが出来る良いコースだと思います。

奥多摩・御岳山~大岳山~鋸山(難易度:★★☆☆☆)(take2)

5月3日からの海外登山を眼の前にして、少しでも身体を動かしておきたいとの思いから奥多摩の大岳山を歩いてきました。
前回は昨年の6月以来ですので約1年ぶり。但し今回は海外登山に同行する兄上が同伴することと相成りました。


前回と同様新宿からホリデー快速奥多摩号にて御嶽駅に向かい、そこからバスで登山口のあるケーブル下駅にアクセスします。

9:10 ケーブル下BS

前回が8:20スタートだったので、今回は大分遅めのスタート。


観光地の管理側としてはケーブルカーに乗ってもらって少しでも経済効果を上げたいであろうこのロケーションにて、今回も空気を読まずに鳥居を潜り歩いて登ってゆきます。

登りは30分~40分程度の登りなので程良い準備運動となります。

ひと登りするとビジターセンター。ここでその後の準備。

ここから集落を少し歩き、御岳山の山頂兼お社である御岳神社に向かいます。

10:30 御岳神社

山の上はまだ大分綺麗に花が咲いておりました。ここで本日の登山及びGWの海外登山の無事を祈る。高尾山と同じでケーブルカーやバスでアクセスできちゃうため、スーツ姿の観光客などもチラホラ。

沢山のコースがありますが、今回もロックガーデン経由で大岳山にアクセスします

天気が非常に良いため、空の青、新芽の緑が目に鮮やかに映り込みます。
前回は日が翳っていたため陰鬱とていましたが、やはり太陽の光は偉大。

ボチボチ山頂を目指していたのですが、ロックガーデン付近の沢からの登りで大分ペースを上げたため、少しバテ気味になりつつ大岳山山頂を目指します。

12:50 大岳山

かなりの数の登山客で賑わう山頂にてランチタイム。
今回もカップラーメンを食っていたのですが、山用の保温ボトルを購入してから以降、お湯をバーナーで沸かすこともなくなってしまいどことなく雰囲気が出ません・・・(笑)

14:00 鋸山

大岳山から鋸山まではほぼ平坦な行であるため体力も対して使わず、快適なトレッキングを楽しむことが出来ます。

15:00 巻道付きの鎖場

大したショートカットにもならないため誰も使わない鎖場。ちょっとした休憩スポットとなっていることから人が多く、実際に鎖を使うと(その場限りの)有名人になれちゃう?!・・・なれませんね。無理せず巻きます。

15:40 愛宕山

ここからまたひと登りするんだぜ~!と兄上に嘯きつつ1、2分程度で終わってからの。毎度お馴染みのこの嫌がらせとも取れる地獄の階段下り!
スノーボードでグラインドしたら一瞬で下まで行けちゃいそうですが、登りではあまり使いたくないかも。斜度が途中で変わってたりしており色々と変な階段です。

ここまで来ると奥多摩駅までもう一息

16:00 下山完了

前回も気になって仕方なかったのですが、この謎スタイルのオブジェは何なんでしょう。色んな意味で脱力感が凄いんですよね…。

このコースはやはり下山口の近くに奥多摩駅がある点がポイント。ビールを啜りつつ帰りの電車を待ちます。

・・・
奥多摩とは言えど7時間程度を問題なく歩き通せたので、本番も(少なくとも)1日目は問題なかろう、と結論づけて帰途についたのでした。