これまで交通手段としてはバス、電車、飛行機と色々利用してきましたが、船でアクセスというのは無かったよなぁ、と思うところがありまして計画を立ててみた次第です。それに加えて今後の山旅の幅を広げるべくテントを背負い込んで出かけてみたのですが、そもそもこの重量でどの程度歩けるのかを知りたいというテーマもあり。事の顛末や如何に?
八丈島はひょっこりひょうたん島のモデルとなった島なのだそうな
出発は浜松町駅から少し歩いたところにある東海汽船の竹芝客船ターミナル。いやもう、船旅なんていつ以来だろう?飛行機なら1時間程度で行けちゃうのに敢えて11時間以上を要する船。ですが結構テンション上がるんですよ?こういうのは大事だよね・・・、とか思いながら桟橋に向かったら間違えて日の出桟橋に行ってしまっておりました。時間に十分な余裕を持っていたことと竹芝客船ターミナルが徒歩で5分程度の場所にあったので全くもって問題はなかったのですが。
23:00 八丈島まで連れて行ってくれる橘丸
橘丸は先日からの運行遅延の影響が響いているとのことで、更に1時間ほど遅れての出発。
ようやく乗り込んで寝床を確保した後は甲板で一杯やりながら東京湾を眺めていました。なんだか際限なくタキシングを続ける飛行機のような妙な感覚だったのを覚えています。まぁ飛ばれても困るわけですが。
翌朝。島民の方による太鼓、及び「おじゃりやれ」のインパクトのある語感による歓迎を受けつつ底土港に到着。
…ですがスッキリしない曇天模様。まぁ降られそうという感じでもないので”登山にはこれくらいが良いのかもしれない”と思いつつ歩き始める。
9:20 底土港
”テント場が満員と相成りました”とな。
ほほぅ!こいつは困ったな(笑)
結構広いテント場だと聞いていたのですっかり油断していましたが、そこはゴールデンウィーク。やはり人が集まりそうな場所に出向く場合はポイントを事前に押さえないとダメって事ですね。テントって旅のスケジュールが自在にデザインできそうなんですが、それは事前のしっかりした手配があってのこと。振り返えるとこういうのは当たり前っちゃ当たり前だったんでしょうが勉強させてもらいました。これも経験。
テント泊は次回に持ち越し。ああっ…(笑)
八丈富士。其の姿は甘食の如し。あそこまで行きます。
港から山頂を目指す今回。要するに海抜0メートルから上まで上げることになるわけです。いつも標高Nメートルの一座を登ったと言いつつ、実際はスタート地点の標高がそこそこ高かったりするんですよね。ターゲットは1000メートルにも満たないのですが、ザックが少々重い(笑)ので油断せずに進みます。
まぁ、歩き易い車道ではあるのですが。
11:09 八丈富士分岐
左折して暫く進むと牧場が在るようです。折角ですので帰りに寄ってみることにしました。
11:20 八丈富士登山口
やはりよく歩かれている道ということで、手入れが行き届いています。というか、コンクリートのスロープが靴のソールに良く食いついてくれてとても登りやすいです。これは下る方も同じことを思われているようで、お互いに譲り合いながら進んで行きます。
11:37 あれ、もう半分?
登られている方の大半がTシャツ、ジーパンにペットボトルを左手に持った格好からも分かる通り、八丈富士はこの島のいくつか在るアクティビティの中の一つということなのでしょう。
12:00 お鉢巡り分岐(実はここから火口内の祠に進めるらしい)
登り始める前までの移動時間を鑑みると予想より大分早く目的地に着いてしまった感があります。ですが、その分ゆっくり火口周辺を巡れそうですね。
かなり綺麗な火口(というか断崖絶壁)と、そこから見える八丈島の市街地
12:30 八丈富士山頂
ここで昼食兼一休み。
宙を舞うツバメの大群のドッグファイトを鑑賞しつつ、チキンラーメンを啜っておりました。これが実に美味かった…。
そう言えば今回は珍しくバーナー使ってみましたがいつ以来だろう?いつもは山専ボトルで事足りてるから出番が少なくなっていたんですよね。荷物は増えてしまうのですが、たまにはこういうのも良いものです。
うーん。贅沢なランチタイムでありますよ。
欲を言えばもう少し青空が見えればな・・・とは思いましたが、しっかり登れて十分な稜線ハイクが出来ているので十分であります。
稜線の向こうは太平洋。離島でしか味わえない。
あの奥に見える島は八丈小島とのことで現在は無人島とのこと。昔は人も住んでおり、小学校なども存在していたのだそうな。
・・・
しばらくすると再びお鉢巡りの分岐に戻ってきたのでそのまま下山しつつふれあい牧場方面に足を伸ばしてみました。
14:00 ふれあい牧場
どの牛にも女性の名前が付けられているようでした。確かこの子は「かすみ」と名付けられていた様な…。
ひと登りした後のアイスクリームの誘惑凄いわ。
この後は登ってきた車道をボチボチ歩いて再び市街地方面に戻ってきました。夕方の温泉以外は特に予定もなかったので、空港を横切って八丈植物園にも少し立ち寄ってみました。
八丈植物園
八丈植物園は大分広いようであったため全てを見ることは叶わず。
ビジターセンターもあるようですな
そろそろ温泉に向かうバスの時間が近づいてきたぞということで、再び歩き始めます。
17:30 大小前BS
バスを待ちながら夕食を取っていたのですが、買い出しをおこなったマーケットがこれまた昭和の雰囲気を携えた懐かしい造りだったのが印象的。食料品売場の横にガンプラを陳列したショーケースが並んでいたりと思わず少年時代を思い出してしまう様な垢抜けなさ。メダルで遊べるルーレットゲーム機やジャンケンゲーム機が置いてあれば100点だったかな?でもタイムスリップしたような気分になれました。いいよね、こういうの。
そして終バスに10分ちょっと揺られて温泉に到着。
自分はいくつか在る八丈島の温泉の中でもローカル感が一番強いという”ふれあいの湯”を選んでみました。
樫立・向里温泉 ふれあいの湯
驚いたのはその名の通り人と人との会話が存在しているというところ。何と言いますか(こういうのに驚くというのも奇妙な話なのですが、)一般的な温泉だと連れ立った親子の間での会話はあってもその枠を超えたコミュニケーションって稀じゃないですか。自分はそれがここにはあった様に感じました。「あれ?」みたいな。
ですが!耳に飛び込んでくるお年寄りの流暢な方言には目を白黒せざるを得なかったです。言ってることが殆ど理解出来ない。まさに異国の地の醍醐味といったところでしょうか。
温泉から出て一休みをしたあとは野宿予定の底土港に向けて歩きます。バスは18時前には終わってしまうので乗れません。でもまぁ2時間弱とのことなので、(もうこの辺は山歩きで感覚が麻痺してきてるのもありますが)すぐ着くな、と思いつつヘッデンを装備。バスから道を少し見ている感じだと、大坂峠までは歩道が無かったのでヘッデンのライトの方向、及び車の接触に気をつけつつの歩きとなります。
大坂峠前のトンネル
19:07 大坂峠
”温泉上がりで気持ち良い~”などと遠くの街の灯を見ながら暫くボンヤリ歩いていると車が一台止まりました。
「どこまで行くの?底土野営場?」
と質問されたので、
「野営場は一杯の様ですので、底土港に向かっています。」
と答えたら、
「乗っていきなよ。」
との有り難いお言葉が。折角なので乗せ頂くことにしました。色々とお話を伺うと八丈島のバスの運転手夫婦であることや、底土野営場が一杯になった理由が急遽予約の入った50張前後の大グループによるものであること、更にはここ数日飛行機の欠航などで足止めとなっている旅行者が溢れていること、及び野宿ポイント等を色々と教えていただきました。
もう、こういう見ず知らずの方に親切にして頂くということが人生の中では無いように思えていただけにとても嬉しかった。こういうことも有るのだな、と思いつつ15分ちょっとであっという間に底土港に到着。お礼を伝えて車を降りたのでした。
星空と波の音を聴きつつご就寝
今回は船客待合所屋上のデッキで寝たのですが、実はテント場から12時くらいまでハメを外してる沢山の若い人たちの声が届いておりました。何だか結果的にここでの野宿が正解だったような気がしましたが本当のところはどうだったのだろうな…。
翌朝。
This is 八丈島
めっちゃ晴れてる(真顔)
昨晩星空見えてたもんな・・・
ですが9:40には出航予定だったので、それまでの間ではありますが近くのお土産屋さんまで散歩しつつ今一度島を歩いてみることしたのでした。
島が「ここからが本番だぜ?」と言っている
お土産屋さん「民芸あき」
このお店は昨日車に乗せていただいた方から教えていただいたのですが、とても良い感じのお店でした。いくつか買い物をした後、再び桟橋に戻ることに。
橘丸再見
東京から往復してきたであろう橘丸。何だか大分懐かしい感じがするじゃぁないですか。
アディオス、八丈島
・・・
ということで八丈島登山記でした。
色々とありましたが、なんだか自分の経験値がちょっとずつ上がってきているような気がします。八丈島に来て良かったな、と思えたのでした。
お土産で買った焼酎は青ヶ島の特産とのこと。八丈島じゃないじゃん~
今回はやらかしが多かったよな…(反省)
美人稜線