2015年9月21日月曜日

谷川連峰・谷川岳(西黒尾根) (難易度:★★★★☆)

今回のシルバーウィークは群馬県と新潟県の境に位置する谷川岳に登ってきました。
西黒尾根という今の自分にはハードルの高いコースに挑戦してきましたが、その分一生ものの経験が出来ました。

国土地理院の地図は3D表示が出来て高性能

まずは都心からバス(毎日アルペン号)を使って登山口へ移動しました。
前日の22時過ぎに竹橋駅を出発した後、関越自動車道をスローペースで北上し、翌日の5時に谷川岳麓のロープウェイ土合駅前に到着。殆ど寝れなかったのだが大丈夫だろうか・・・。

ロープウェイ・土合駅

ロープウェイ自体は朝の7時から運行開始になります。それまでは建物の中には入れないということで少し寒い。
建物の前で簡単な朝食を取りつつ登山の準備にとりかかります。

谷川岳の人気コースはいくつか存在するようなのですが、主に以下の2つがメインになると思います。

  • 天神尾根コース ・・・ ロープウェイで谷川岳から少し離れた高倉山(天神平)まで登った後に稜線伝いで谷川岳山頂を目指すコース
  • 西黒尾根コース ・・・ 麓から尾根伝いに一気に頂上を目指すコース

今回は往路に西黒尾根を登り、復路に天神尾根コースを選択しました。天神尾根コースは難易度が低いコースで眺望を満喫するにはもってこいですが、ロープウェイの始発7時まで2時間近く建物の前でひたすら待ち続ける必要があり、時間の無駄を感じざるを得ないので。

5時16分 西黒尾根登山口

ロープウェイ駅前から5分程度歩くと登山口に到着。うーむ。一ノ倉沢ではないとはいえ魔の山と言われるだけあり、雰囲気があります。
まだ日の出前であるためヘッドライトの灯で足元を照らしつつスタート。いきなりのガレ場・急登が温まりきらない体に堪えます。

5時半あたりに日の出

10分ちょっと歩くと少し開けた場所にある鉄塔下に出たのでヘッドライトを収める

日が出てくると足元が見えやすく、安全に進むことが出来ます

日本の3大急登という話でしたが、西東京の山々と比較しても然程難易度は変わらないと感じました。
(・・・が、その意味を思い知るのは後程になります)

50分歩くと少し開けた場所に道標

山頂まで3時間程ということなので、今の自分には4時間程度だろうか。

少しだけ周りを見渡せるようになります

雲の間から日が射してきました。天気は予報通り晴れのようです。

復路のゴール地点であるロープウェイの天神平駅

ブナ林の樹林帯をひたすら登り続けて高度を稼ぎます

いつも登っている山に多い杉林とは異なり、どこか穏やかな雰囲気と感じました。

樹林帯を抜ける直前・・・

高度が上がると森林限界(高木が生育できなくなる限界高度)を超え、鬱蒼とした雰囲気から視界が一気に広がっていきます。

岩稜帯の可愛いトラバース(斜面横断道)

この辺りから西黒尾根の難易度がグングン上がってゆきます。

第1鎖場

両手にラバー手袋を装備し、グリップを高めてから挑戦。

登って行くと足元のすぐ先が崖、という地点がゴロゴロ出てきます

ゴールの山頂に目をやると、新潟県側から雲がこぼれ落ちてくるのを確認できます

この辺りになると、トレッキングポールは邪魔になるだけなのでザックに収納。四つん這いになって進むポイントがポツポツ出てきます。

山頂付近の雲がマチガ沢方面に溢れ出しています

第2鎖場

徐々に難易度が上がってきますが、足場が豊富にあるので登れないことはありません。
そしてここを乗り越えると、いよいよ物凄い眺望を備えた尾根道に突入します。

7時22分、ラクダの背

気持ちの良さそうな道が続いているように見えるかもしれませんが、至る所に存在する蛇紋岩と呼ばれるツルツルの岩と、登山経験の浅い自分(一年目)には厳しめな道が存在しています。加えて山頂が完全にガスってしまったようです。

ただし登山計画上、余裕を持って8時30分を予定していたので、焦らず慎重に進むことができます。

素晴らしい眺望に、歩いては眺め・・・を何度となく繰り返してしまいます。
世界が輝いている様に感じました。

今までに経験のない美しい道、山容に挑むことが出来る、と喜んでいましたが・・・

7時30分、ガレ沢の頭

厳剛新道と、西黒尾根の合流地点を指し示す石碑です。
これ以降、少々手強い道が続きます。。。

雲の直下、暫く進んでからガレ沢の頭を振り返る

岩稜帯・取り付き

あまり写真を撮っている余裕がありませんでしたが、黄色のペンキ矢印が薄っすらと見えると思います。ここを両手両足で岩に取り付きつつ登ってゆきます。景色の美しさと相反する厳しい道です。

と言っても、今までの道は鎖で這い上がってきたような道ですので引き返すこともままなりませんので、鉄壁の三点支持を意識し、一足一手に全神経を集中して進みます。
しっかりした手がかり、足がかりは豊富にありますので、進めないことはありません。

それにしても岩稜帯では鎖が欲しいなと思うポイントが結構多かったですね。うーん。

登り切りました。この風景は脳内に強烈に刻み込まれました。

正直申しまして、初めてこのような高度感のある道を登ったからでしょう、取り付き中は体からアラートが鳴りっぱなし状態でした。

個人的な所感ですが、ここは、基本的に経験の浅い一般人が気楽に登るルートではないようです。岩登りの基礎をある程度身につけてから訪れた方が楽しめるルートだと思います。

(ただし、その分360度パノラマの景色は本当に素晴らしいんですよね・・・!)

この後、ガスと突風で岩が湿り始めます。もし岩稜に取り付いている最中にこの状態になったら少し厳しかったと思われます。

氷河の爪痕(じっと眺めていると平衡感覚がおかしくなりそう

ここは岩場が湿ってツルツル状態でしたが、実際は足がかりのあるルートが直ぐ傍あるので問題ありませんでした。

更に登ってゆくと何かが見えます・・・

9時9分 ケルン道標

ようやく天神尾根コースとの合流地点に到着。山頂は目と鼻の先。

9時17分 谷川岳山頂・トマノ耳に到着

気力を大きくすり減らした分、やり遂げた感が尋常ではなく、ただただ嬉しいです!

目標時間の10時30分から1時間以上早く、且つ地図に記載されていた標準到着時間の4時間から僅か17分遅れの到着でした。道中での長い休憩時間も考慮すると、今の自分にはかなり順調なペースだったと言って良いと思います。

その後、谷川岳は双耳峰(猫の耳みたいな・・・)であるため、もう一つのピークを目指します。

9時37分 谷川岳山頂・オキノ耳に到着

眺望はゼロ

眺望はガスで完全に遮断されてしまいましたが、中央分水嶺という気候が極端に変化する厳しいポイントらしいので仕方がないのかもしれませんね。

山頂から引き返し、肩の小屋を目指します

肩の小屋

小屋内の売店にて自分用お土産としてキーホルダーを1個購入。

天神尾根からの大行列

かなりの人が休憩していましたが、それもその筈・・・この辺鄙な所にとんでもない数の人が途切れることなく向かってきます。ロープウェイで手軽に山頂を目指すことが可能になった、とは言え・・・ちょっとあり得ないくらいの数で、天神尾根を下山する際に所々出くわした渋滞は印象的でした。
但しお年寄りから幼児まで幅広い人を受け入れる、懐の広い山なんだ、ということでもあります。この点だけを考えれば、一概に魔の山、ということでもないのでしょう。

少し待てば雲の切れ間から景色を望めたりしないだろうか・・・と、淡い期待をしておりましたが、その後もどんどん人が増えてしまい、その場でゆっくりするのも難しいだろう、ということで暫く佇んだ後に天神平を目指すことにしました。

10時30分 天神尾根コースで下山を開始

ゴール地点が奥の方に見えるのであっという間に到着できそうに思えますが、実際は2時間前後を要します。

山頂を振り返ると・・・

少し進んで山頂を振り返りますが、雲の中です。天気予報は晴れ、ということだったのですが、「“降らない”、“ガスらない”とは言っていない」ということなのでしょう。山頂においては天気予報は大した目安にはならないようです。変わりやすいという話も散々聞いてきましたし、仕方がないですね。

新潟側のヒッゴウ沢方面。クマザサの海です。

再び雲の下まで高度を下げると、ある程度視界が回復してきました。

天神尾根は風景を楽しむ余裕があって良いです。秋の訪れを感じますなぁ。

天神尾根を行く

しばらくすると雲を完全に抜けました。青空と太陽が眩しいです。
気温差は山頂と10度程度はあると思いますが、物凄い天候差に呆気にとられます・・・。

11時12分 天狗のたまり場

天神尾根から往路の西黒尾根を俯瞰。奥に見えるのはラクダの背のようです

大分高度を下げましたが、普段の登山であれば山頂級の眺望だと思う

西黒尾根の厳しさを味わった後ですので天神尾根の快適さが際立ちます

また、西黒尾根を振り返る

ロープウェイ天神平駅に到着。青と緑のコントラストが眩しい

ここは天神平スキー場なのですが、夏秋期間もロープウェイとリフトが稼働しており、観光客も結構な数です。
登山をしない(または出来ない)場合も手軽に楽しむことが可能です。

遅めの昼食を取りつつ山頂を眺める

どうやら山頂からガスが取れているようです。自分が登った時間帯はタイミングが悪かったのかもしれませんね。今度登った時は晴れてくれますように!

次はどこに登ろうか・・・


2015年9月6日日曜日

奥武蔵・棒ノ嶺~奥多摩・高水三山(難易度:★★☆☆☆)

今週は秋雨前線の影響で天候に恵まれておりませんでしたが、土曜日の1日だけはなんとか持ち直す、という予報に希望を見出し、山行に出向いておりました。


今回は奥武蔵の棒ノ嶺です。涼し気な沢を登った上には非常に優れた景観が展開していました!

前回の武甲山縦走と同様、飯能駅からバスで出発

さわらびの湯バス停

実はここには銭湯があるようでして、棒ノ嶺から下山すると一風呂浴びて一杯ひっかけてから帰路につけるという素敵な仕様になっています。ただし今回はそのまま奥多摩に抜けてしまうのでここには戻ってきません。
もし他の人と登山するようなことがあれば、利用してみるのも面白いかもしれませんね・・・。

有間ダム。ここにもバス停を作ってくれても良いような気がする。

バス停から登山口に向けて10分ちょっと歩くと、途中で有間ダムという小さな貯水池・名栗湖にさしかかります。
ツーリングしてきたであろうオシャレな車、バイクがそこら中に並んでいたのが印象的。

棒ノ嶺の登山口

ダム湖の南方・白谷沢方面へ回りこむようにアスファルト道を歩いてゆくと、橋の奥辺りに登山口が見えてきます。

序盤こそ沢伝いのオーソドックスな登山道ですが・・・

棒ノ嶺登山の醍醐味、白谷沢登りです!

このような水流のある岩を登ってゆくことになります。
・・・なんですが、水深もないに等しく流れも緩やかで、沢を登るというより、時折川を横断しつつ左岸右岸に伸びている道を辿る、との表現の方が正しく、若干の鎖場こそあるものの、這って登るような場所はないため危険度は低いと感じました。

この先に進め、と言うのですね?

うーん。写真ですと湿った岩の上を鎖を手がかりに・・・というイメージで少々キツそうに見えますが、実は全くそんなことはなく、寧ろ道を左右にスイッチしながら少しずつ高度を上げてゆくアスレチック感がとても楽しいのです。

その後、沢を抜けて車が通れるほどの林道(車で来れるのか・・・)を横断すると山頂までもう半分。

途中で突然現れる岩茸石

事前に調べていた情報によると岩の上に登れるそうなので、こっそり裏に回りこんでみると・・・

成る程、階段状です。うむ。

その後、暫く歩くと稜線に出ます。

ゴンジリ峠

ここが棒ノ嶺山頂に至る道、奥多摩に抜ける道と名栗湖に抜ける道の三叉路になっています。ここまで来ると山頂は目と鼻の先。そして・・・

棒ノ嶺山頂

多くの登山者で賑わっていましたが、とても開けた場所になっており、昼寝ができそうですよ!

特筆すべきは山頂に到着した際の景観の立派な広がり方にありまして、思わず「おおっ・・・!」と唸らせてくれるものがあります。

山頂からのパノラマ撮影

山頂からの眺望には少し前に登った秩父の大持山、武甲山が望めます。そしてその奥には今度チャレンジする谷川岳が・・・。

湯を沸かして少し早めの昼食を摂った後は、奥多摩に向けて出発

埼玉・飯能から東京・青梅に向けて南下する道

基本的に平坦で大きなアップダウンはありません。サクサク進めて良いのですが、その分開けた場所がないのは少し残念か・・・。そういえば途中で黒山という名の山頂を通っていたらしいのですが、全く気付けずスルーしてました。奥多摩界隈って存在感やピーク感のない山が多いのかな?

縦走路の途中に見える麓の大丹波集落

6月に初めて登った岩茸石山に再度到着。曇ってきました・・・。

ここまで来ると数カ月前に一度登っている道ですので勝手知ったるものでして、ゴールまでの道がくっきりイメージできます。

高水山山頂。相変わらずの山頂感ゼロ!だがしかし!

直ぐ側には立派な寺院・常福院!

夏登山の無事に感謝しつつ、今度の登山成功を祈りました。

これで今回のもう一つの目的が達成できました。

高水三山の登山口付近

6月の登り始めの時には、最寄りの軍畑駅からずいぶん遠くに感じたものですが、サクサク歩いて15時前に軍畑駅に到着し今回の山行は終了。