2016年6月20日月曜日

丹沢・檜洞丸~蛭ヶ岳~丹沢山~塔ノ岳(難易度:★★★★☆)

今回は丹沢山塊を4座ほど縦走してきましたので、その記録になります。

コース自体の難易度は然程ではなかったのですが、日帰りを達成する為に、体力面、時間面でのコストが大きく必要とされる実にタフなものでした。

・・・

丹沢はこれまで複数回歩いていた表尾根コースからの塔ノ岳だけではなく、百名山に数えられる丹沢山、神奈川県の最高峰である蛭ケ岳、かつては秘境と言われていたという檜洞丸といった素晴らしい山々がある、との話を様々なサイトから情報を得ていました。

“表尾根からのステップアップとして是非踏破しておきたい”

そう思い続けていたわけです。

ただし、それらの情報には必ずと言って良いほどセットとなって提示されている重要なポイントがありました。それは、日帰りだと時間的に厳しいということです。

帰りは日が沈んだとしても、何度か通ったことのある大倉尾根(バカ尾根)だし何とかなるだろう、とも思いました。

結果としては“何とかなった”のですが、振り返るとナメてた感は否めない。


全長で20キロオーバーになるロングコース

今回はコースタイムが10時間オーバーになるため、スタートは極力早めを心がけました。


7:15 新松田駅

まずは新宿から小田急の新松田駅(終点である小田原駅の手前)に移動します。


8:30 西丹沢自然教室

ここで登山届を出した際、管理人の人から
「ああ、大倉に抜けられるのですね。であれば協力頂きたいことが・・・」
とのお話が。それは遭難された方の何かの情報が得られた場合は連絡してくれ、というものでした。
どうも50代の男性が蛭ケ岳から丹沢山に向かう際に行方不明になってしまっていたらしい。
丹沢はアクセスしやすい山ではありますが、自分も油断はしないようにしよう・・・。

了解したの旨を管理人さんに伝えた後に出発です。


8:50 登山口に向けて進む

登山口はそれまでバスで進んできた道の延長線上にあります。
特に迷うことはなく10分程度で到着。


8:58 登山口

その場に立つと理解いただけると思うのですが、登山口には何とも言えない包み込まれるような感じがありました。そんな雰囲気に誘われつつ、沢沿いに進んで行きます。


個人的に杉林より穏やかで雰囲気が良く、好きな類のブナ林道


9:30 ゴーラ沢出会

30分ほど歩くとゴーラ沢出会というポイントに出ます。
東沢の本流に、ゴーラ沢が流れ込んでいるポイントなのですが、林から抜けた先に広がっていた清涼感のある空間はとても印象的。休憩している人も多かったですね。

そしてこの川の対岸に登山道の続きがあります。水量が多いと渡りに骨が折れそうな感じです。しかし昨日今日と晴れていたこともあり、水量は少な目だったので助かりました。


登山道の続きである対岸の階段と鎖場

ここもそうだったんですが、沢や川から先に続く登山道ってちょっと急坂になってるパターンが多いですよね。念のために手にグリップを付けて登っていきます。


10:18 展望台

1時間程度毎に休めるスペースがあるのでホント助かります。


鎖と梯子がポツリポツリと出てきますが、適当にやり過ごしていきます

今回はコースタイムが長めであるとはいえ、ゴールの大倉BSからの路線バスや小田急線が遅い時間まで動いてくれていることが分かっているため、気持ち的にはあまり焦りがありません。

逆にペースを崩してストップしてしまうことのほうが怖い感じです。


檜洞丸までの道はあまりガレておらず、個人的には好きな雰囲気

そして山頂付近に近づくと、木道と共に植物園の様な感じの道になります。
花自体はあまり咲いていなかったのですが、これまで登ったどの山より最高に気持ちの良い道でした。シーズンを選んで登れば更に良い感じになるのかもしれません。


オーソドックスな道の先にあるご褒美


11:30 檜洞丸山頂

ここで水と食料を少しだけ摂りました。
とても良い感じの山頂であったため、もう少し滞在したい気持ちを抑えつつ蛭ケ岳に向けて出発です。


次の目的地まで4.6キロ

あの先に見えるピークが蛭ケ岳。

“下げるなよ~、絶対下げるなよ~!”と心で念じていたのとは逆に、結構高度を下げることと相成ります。そこに至るまではアップダウンの少ない尾根道をちょっとだけ期待していたんですけどね。まぁ仕方ないですね。


道々に生えている草に足を挿されつつ、階段場を登っていきます

この階段場の写真上段に斜めになった梯子がありますが、こいつはダミーでした。
正解のルートは左に伸びている鉄橋の先にあります。


12:38 神ノ川乗越


13:00 臼ケ岳(?)

下ってばかりのルートなので蛭ケ岳に向けて登っている気がしません。近づいてはいるようなんですが・・・。うーん。
これ、最後に急坂が連発している無茶なルートというパターンなんじゃないかなぁ、と一抹の不安が過ります。


13:22 先人の警告

この道の先にも人の足で付けられたであろう踏み跡が豊富にあったため、自分もうっかり進んでしまいそうになりました。しかしこの人為的な並びの石と木の×印に気付けたため、ルートを踏み外さず進むことが出来ました。有り難いですねぇ。


山頂前の鎖となかなか減らない残り距離

蛭ケ岳は残り1キロを切ったあたりから急な登りが連続します。
極端な高度感はありませんでしたが、気合を入れて体を上へ上へと持っていきます。
その分、道標の残り距離がなかなか減ってくれず泣きそうになります(笑)
100メートル進むのにえらく体力を使う感じですね。


もうちょっと・・・


14:20 蛭ケ岳山頂

かなり立派なヒュッテとスペースが広がっていました。
雲の上に頭一つ出ている感じではありましたが、その後のルートは高度を下げることとなるため、これ以降の眺望はあまり望めないかも・・・と思いつつ、少し休憩。

今回のルートを進む場合、本当であればここで一泊し、夜は星を眺めつつ朝にはご来光を楽しむというのが安全で手堅い楽しみ方らしいです。使った体力と現在の時刻を考えると、全くその通りであると言わざるを得ない。蛭ケ岳に行くのであればお金と時間のコストはケチっちゃダメですね。


道&鎖をボチボチ進む

ここからが素敵な稜線散歩な筈なんですが、ガスのためにあまり先が見通せません。



しかし先の道が長いことを考慮すると、いくら眺望が良くても直射日光で体力を削られた場合、途中でバテてしまう可能性も否定出来ません。このため運が良かったという考え方も有り、何とも言えない感じです。


15:20 不動ノ峰

丹沢山まで半分程度の位置まできました。
アップダウンが減った分、距離が稼ぎやすい感じです。


道が綺麗に整えられており、登山道としては一級品だと思います


16:00 丹沢山山頂

“百名山に数えられている丹沢山”ということもあり、塔ノ岳から足を延ばす方も多いと聞いていました。しかしこの時間になると自分以外は誰もいない感じでした。


少し休憩を挟んだ後、気合を入れて最後の塔ノ岳を目指します

というか、塔ノ岳山頂はここ以上にガスられているね、コリャ。
・・・今回で3度目の塔ノ岳ですが、この山、私に何が何でも眺望を見せたくないらしい(笑)

そんなこんなで今回の丹沢縦走も終盤ですよ。


歩きに多少ウンザリし始めた矢先・・・


17:00 塔ノ岳山頂

山頂に到着した際、自分以外に誰もいなかったので寂しいなぁ、と思っていたらおばちゃん集団が突然やってきて写真を撮りまくってました。
もちろんヒュッテ(尊仏山荘)に宿泊するみたいでちょっとだけ羨ましい。ただし翌日は雨の予報だったので大丈夫なんだろうか?と味噌汁を啜りつつ思う。

というか、自分はこれから3時間程度かけてひたすら下山なんでそっちを心配すべきかな。


バカ尾根(大倉尾根)下山開始。大詰めです!

完全なるナイトハイク覚悟で、秦野市街の街の灯を楽しんでから帰るという選択肢もアリかもしれない・・・と思いましたが、明日は仕事ですからそうも言ってられません。


尾根の下り階段が途切れる踊り場スペースがとても有り難く感じられます

下山完了時は日が沈んでいることが予想されたため、ここでヘッデンを装備します。
昨年登った雲取山の下山時にも感じましたが、本当の暗闇に包まれると、なかなかおっかないものがあります。


これが・・・


こうなります。

知ってる道なので黙々と下っていけますが、初めての道だったり分岐の激しい道だったら相当厄介ですね。最悪ビバークものです。


下山完了


19:40 大倉バス停

ということで標準タイム11時間のルートを歩き、結果としてスタートからゴールまで10時間40分を要しましたが、なんとかこの長丁場を事故無く攻略することが出来ました。

このルートでの日帰り登山は“やり切った感”は半端ではないですが、かなり疲れますのであまりお勧め出来ません。

山塊の奥深くに入っていくこととなるため、何かトラブルが発生した際の中断も難しいですしね。

印象としては日帰りの限界という感じであり、次にもし歩く機会が有れば、晴れた日に一泊二日で星とご来光と景色を堪能する山行にしたいな、と強く思うのでした。

2016年6月5日日曜日

奥武蔵・二子山~焼山~武川岳~伊豆ヶ岳(難易度:★★★☆☆)

昨年、名郷BSから武甲山を目指した際に踏めておらず、心に引っかかっていた山が武川岳。

あの時は夏のど真ん中で気温湿度の高さと虻対策が十分ではなく、消耗戦を強いられてしまったことからシーズンの早い時期に足を向けておきたいと考えていました。

ということで今回は武川岳を中心として奥武蔵の山々を縦走してみることにしました。


秩父から南下し、武川岳を中心にぐるっと回りこむように飯能方面を目指します

まずは池袋から西武線に乗り、飯能を経由して芦ヶ久保駅に向かいます。

予想通り周りはハイカーだらけ。
以前、奥多摩方面に訪れた際は比較的若年層が多かったような気がするのですが、秩父方面は何故か妙に年配層のハイカーが多く渋い印象を受けました。東京方面から電車一本で行ける手軽さは変わらないんですけどね~。


8:40 芦ヶ久保駅


駅から線路沿いの坂を下りたポイント

川は越えずに表示板を左折し、線路の下を潜るといきなり登山道が始まります。
登山口は駅から目の鼻の先で、バスや徒歩での長い移動がないのはポイント高いと思いました。


8:50 登り開始

林間の穏やかな道が続きます。今回はコース自体が駅to駅の低山縦走ですので、あまり無茶な登攀や時間に追い立てられることが無く気分的にとっても楽です。


9:08 兵ノ沢

表示板は上が現在地で、下が次のポイントを指示しているようです。

・・・が、


こんな感じの表示板も。

個人的には上側の板が現在地なのか、または次のポイントを指示しているのかがパッと見では分かり難い印象でした。矢印の有り無しで判断出来るっちゃ出来るんですけどねぇ。


山頂前はロープ地帯の急登が暫く続きます

ロープ地帯はそこそこの斜度(50度前後)でしたが、写真では全く伝わりませんねコリャ。


9:59 二子山(雌岳)山頂

二子山は双耳峰であるため、もう一つのピークである雄岳も踏みに行った・・・のですが、雌岳から雄岳の間は道の分岐が多い割に肝心なポイントで表示板が無かったり・・・と、ルートを間違いやすいので少し注意が必要です。

(どうやら芦ヶ久保駅から進んだ場合、雌岳山頂を踏まず、直接雄岳山頂を目指す巻き道がある(?)ようです)


10:11 二子山(雄岳)山頂

取り敢えず1座目は大きな問題なく到着。
休憩できそうな広めのスペースが山頂からちょっとだけ下ったところにあり、そこから武甲山の威容と秩父市街を眺めることが出来ました。


相変わらず山頂直下からの削岩跡が生々しく厳つい印象を与えてくれます


今回の山行ルートでは数少なかったパノラマ写真を撮れるポイント

昨年、武甲山山頂から秩父市街地を眺めてそれなりに満足していたのですが、やはり武甲山と市街地の風景をセットで眺めると、より秩父らしい感じがしますね。

ここから2座目・焼山へのルートに入っていくのですが、道を一度誤り、廃道(?)らしき誤ったルートに入り込んでしまいました。


・・・先には何かが有るらしい

焼山の表示板の指し示す方向に沿って真っすぐ進むと、途中までは一般ルートの様に人の踏み跡が続いていたんですが、歩いていて道の様子がおかしく違和感を覚えたため、いったん引き返すこととしました。

改めて休憩ポイントに戻り冷静に確認すると、正しいルートへの「入口」が表示板の目と鼻の先に藪で軽く覆われているじゃないですか。要するに表示板はルート入り口を指示しているだけで、ルートの「方角」を指示していないことが判明。

まぁ15分程度のロスではあったんですが、基本である地図とコンパスの確認を怠るとダメという、良い教訓になったかな・・・。


そのあとはルートが明快であり問題なく進めます


11:18 岩を這い上った直ぐ後が焼山山頂

振り返ると通ってきた二子山の稜線が見えます。


名前が示す通り、ラクダの瘤の様な特徴的な双耳峰


焼山山頂は今回登った山の中で一番周景色が良かったかな

次に3座目の武川岳を目指すため、また高度を下げて行きます。


焼山から下げて行くと県営林作業道に出ます。一旦登山道を出てしまう格好となるため、縦走感が薄まる感じです・・・。

ここを左折して少し上ると改めて武川岳に向けたルートに入ります。


この先に登山道有り


緩やかな登りをじっくり登っていきます・・・


12:03 あまりに存在感の薄い蔦岩山山頂(偶然気付けた)


12:22 武川岳山頂

二子山~焼山のルートに立っていた表示板もこれくらい堂々と掲げてくれると良いんだけどな~。


ご丁寧にベンチが拵えられており、公園のような雰囲気

部分的にではありますが、遠景が望めたので昼食をとりつつ大休止。


軽く昼寝した後、最後の伊豆ヶ岳(山伏峠方面)を目指します。


杉林の檻を潜りつつ高度を下げる


13:42 車道とのクロスポイント

今回の4座目である伊豆ヶ岳が見えてきました。あの山の向こうがゴール地点ですね。


14:07 山伏峠

ようやく武川岳を下り切りました・・・。

だがしかし!


間髪入れず登りが始まります(笑) ラウンド4。


山伏峠から入ると伊豆ヶ岳の山頂は目と鼻の先

そして・・・


13:47 伊豆ヶ岳の山頂

OK~!問題なく登りきることが出来、じんわりと充実感が沸いてきますね。
今回の奥武蔵4縦走もあとは下山を残すだけ。


正丸駅まで残り4キロちょっと

だが、その先には鎖場が待ち受けているはず・・・!
・・・と思ったら、


鎖場は色々と具合が悪い状態らしい・・・

ということで結局鎖場は使わず、巻き道を進みました。


おう、五輪山だそうで・・・。ネーミングと看板の傾き具合(やる気のなさ)が妙にタイムリーで少し脱力感w


登山道を進んでゆくとこの手の中途半端な階段をよく見かけます。ステップごとに雨土砂が堆積して形成されるには後どれくらいの時間がかかるのだろう・・・。とはいえ足が引っかかりそうでちょっと進みにくいんだよね・・・。


15:58 下山完了

毎度のことですが、下山後のアスファルト道は光輝いて見えますね。


16:23 正丸駅到着

運よく池袋までの快速急行に乗れたため、18:00には池袋に到着出来ました。
今回は高低差は大きくなかったのですが、移動距離が15キロと今の自分には少し長めでした。夏場だと体力をかなり削られそう。

ですがコース的にも休憩ポイントがポツポツと存在しており、二子山から焼山間に向けてのルート誤りさえ気を付ければとても良い縦走路だと思います。

がっつり歩きたいときはお勧め!です。